LED照明を利用したきのこ栽培技術の開発

タイトル LED照明を利用したきのこ栽培技術の開発
担当機関 (独)森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 宮崎 安将
宮崎 和弘
中村 雅哉
佐野 広明
金子 真也
鎌田 堯
坂本 裕一
増野 和彦
古川 仁
阿部 正範
西澤 元
中村 公義
小山 智行
風間 宏
鈴木 大
國友 幸夫
阪田 春生
小畠 靖
発行年度 2012
要約 最新のLED照明を用いた光照射技術により、日本で流通する各種きのこ(シイタケ・マイタケ・エノキタケ・エリンギ・ナメコ・ブナシメジ・バイリング・アラゲキクラゲ)の効果的で省エネな生産法を開発しました。
背景・ねらい 栽培きのこの品質は、光の質によって大きく左右されます。きのこの形質や生産性の向上と、省エネルギー化を図る目的で、きのこ栽培に最適なLED*装置とその照射方法を開発しました。エノキタケ・シイタケ・マイタケでは、収量の増加と高い市場価値を付与することができました。ナメコ・ブナシメジ・バイリング・アラゲキクラゲでは、エネルギーコストを押さえつつも、従来の蛍光灯照明と同等の生産が可能であることを示しました。エノキタケ栽培では、生産現場で問題となる菌床の剥離現象を効率的に回避できることが分かりました。エリンギでは、形状を自在にコントロールし、より市場に好まれる製品を作出することに成功しました。

*LED (Light emitting diode)
発光ダイオードの略称。従来よりも少ない電力で光量が得られるため、近年新たな照明として蛍光灯等と置き換わりつつある。
成果の内容・特徴

きのこ形成と光の関係

LEDを用いた省エネルギー型照明を利用した新しいきのこ栽培法を開発するため、基礎研究及び実用技術開発研究の両面から取り組んでいます。基礎研究では、世界で初めて、きのこにも光を感じる「目」となるタンパク質があることを発見しました。また、青色の光を受け取ってきのこの形成を開始させるとともに、その形状を制御していることが明らかになりました。そこで、きのこ栽培にこの青色光が最も効果的であり、この波長を照射できる青色LED装置を導入しました。また、シイタケなどのきのこは、より強い光があたるほど濃く着色しますが、その原因物質が「メラニン」に由来することを世界で初めて明らかにしました。きのこの栽培時に照射光を調節することによって、きのこの色の濃淡を自在に制御できる可能性を示しました。

青色LED照明を利用したきのこの栽培技術の開発

「きのこ」と一言に言っても、シイタケとエノキタケではキュウリとレタスぐらいの生物学的な違いがあります。このため、各々のきのこに特化した栽培法が必要です。そこで、各種きのこに最適化した、光照射技術の開発を行いました。エノキタケ、シイタケやマイタケでは、青色LED照射が収量増加や市場価値の高いきのこを栽培できることを示しました(図1)。ナメコ、ブナシメジ、バイリングやアラゲキクラゲでは、青色LED照射することにより栽培時の省エネルギー化を図りつつ、従来の蛍光灯照明と同等のきのこ生産が行えることがわかりました。特に、ブナシメジでは、25%の節電効果が栽培現場で検証できました。エノキタケ栽培において問題とされる菌床剥離*は、栽培不良や収穫きのこの異物混入につながり、生産コストの増加をもたらしますが、青色LED照射によって劇的に回避できました。エリンギは栽培時に青色LEDを照射することにより、より市場に好まれる形状のきのこを作出することが可能です。

生産者に優しい白色LED照明を利用した栽培技術の開発

青色LED照明を利用した栽培技術は優れた特徴を持ちますが、青色のみの栽培環境(図2)は生産意欲の減退等に繋がるため、生産者からは白色光の栽培環境が求められます。そこで、複数のLEDを組み合わせることにより、青色光を含みながらも、より我々の目にも優しい白色LED装置を開発しました。この白色LED照明を用いた各種きのこの栽培においても、ほぼ同等の収量や付随効果を確保することに成功しました。マイタケでは、着色抑制の効果もあり、新たな商品開発に役立つことも分かりました(図3)。

本研究は、農林水産技術会議委託プロジェクト「きのこの光応答メカニズムの解明及び高度利用技術の開発」により行いました。

*菌床剥離
菌床(きのこを栽培するためのおがくず培地)が栽培途中ではがれてしまう現象。エノキタケ栽培において大きな問題となる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026133
カテゴリ えのきたけ エリンギ きく きゅうり コスト 栽培技術 しいたけ 省エネ・低コスト化 なめこ レタス

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