ココヤシの重要害虫キムネクロナガハムシにおける2種の発見

タイトル ココヤシの重要害虫キムネクロナガハムシにおける2種の発見
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 中村 達
一木良子
高野俊一郎
村田未果
Nguyen Thi Huong
望月 淳
高須啓志
小西和彦
Jelfina C. Alouw
Donata S. Pandin
発行年度 2012
要約 ココヤシを加害する害虫キムネクロナガハムシには、アジア型とパシフィック型の2つの隠蔽種が存在することを明らかにした。現在アジア型の防除のためにパプアニューギニアを起源とする寄生蜂Asecodes hispinarumが東南アジアに導入されているが、本種はパシフィック型の天敵であるため、寄生蜂Tetrastichus brontispaeなどアジア型の天敵の導入が望まれる。
キーワード 隠蔽種、生物的防除、侵入害虫、ココヤシ
背景・ねらい キムネクロナガハムシは、近年東南アジアを中心に急速に分布域を拡大しているココヤシの新葉を加害する重要な侵入害虫である。今後インド・スリランカおよびアフリカ大陸への侵入が懸念されている。このハムシは、薬剤が届きにくい畳まれた葉の間に生息する事や、ココヤシの樹高が高く人家に隣接している事から、化学的防除は難しい。このため天敵を利用した生物的防除を目的に、当初FAOによりパプアニューギニアを起源とする寄生蜂Asecodes hispinarumが東南アジアに導入された。本研究では、東南アジアに侵入したキムネクロナガハムシの侵入経路と原産地を明らかにするため、DNA解析を行うとともに、各地域に生息するハムシの生活史特性を比較して、生物的防除の効率化と侵入拡大阻止を目指して研究を行った。
成果の内容・特徴
  1. キムネクロナガハムシには外部形態での識別は困難だが、ミトコンドリアDNAのCOI部分配列(1014bp)が大きく異なる2種(隠蔽種)が存在する(図1)。
  2. この2種は地理的分布が異なり、一方はパプアニューギニア、オーストラリア、インドネシアの一部に分布(パシフィック型)、他方はアジアをはじめその他の地域に広く分布し(アジア型)、東南アジアに侵入したハムシはアジア型である(図2)。
  3. アジア型の方は、パシフィック型よりも産卵数が多く、寿命が長い等、生態的にも異なり害虫化しやすい特性を持つ(図3)。
  4. 両系統の1014bp COI部分配列を増幅したPCR産物を制限酵素BslIで消化すること(PCR-RFLP)により、2系統を明瞭に識別可能なバンドパターンが得られ、両者を短時間で安価に区別することが可能である(図4)。
  5. 現地での採集と歴史的な記載から、現在東南アジアに導入され生物的防除に用いられている寄生蜂Asecodes hispinarumはパシフィック型の天敵であり、侵入害虫であるアジア型の天敵ではない。
成果の活用面・留意点
  1. 侵入害虫に対して天敵を導入し生物的防除を行う際、害虫の原産地から本来の天敵を導入することが不可欠である。今後、インド、スリランカ、アフリカ大陸へ本害虫が侵入した場合、まず我々の開発した方法で、ハムシがアジア型かパシフィック型かを判別し、本来の天敵を導入することが望ましい。
  2. アジア型の天敵寄生蜂はTetrastichus brontispaeであり、利用に向け増殖を試みている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026087
カテゴリ 害虫 生物的防除 防除 薬剤

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