ソルガムの根の生物的硝化抑制(BNI)物質の同定と特性

タイトル ソルガムの根の生物的硝化抑制(BNI)物質の同定と特性
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 G. V. Subbarao
中原和彦
H. A. K. M. Zakir
石川隆之
吉橋 忠
小野裕嗣
吉田 充
発行年度 2012
要約 ソルガムの根には、親水性硝化抑制物質としてMHPP(methyl 3-(4-hydroxyphenyl) propionate)とsakuranetin(5,4'-dihydroxy-7-methoxyflavanone)、および疎水性の抑制物質としてsorgoleone(2-hydroxy-5-methoxy-3-[(8'Z,11'Z)-8',11',14'-pentadecatriene]-p-benzoquinone)がある。水耕栽培においてソルガムの根からの親水性硝化抑制物質の放出は、NH4+により促進される。また、硝化抑制物質採取用溶液のpHを5から7に上げると親水性硝化抑制物質の収量は大きく低下する。
キーワード ソルガム、生物的硝化抑制(BNI)、硝化抑制物質、MHPP、Sakuranetin、Sorgoleone
背景・ねらい 硝酸化成(硝化)は、アンモニアを亜硝酸にするアンモニア酸化細菌およびアンモニア酸化アーキアと、亜硝酸を硝酸にする亜硝酸酸化細菌が関与している過程であり、土壌中での窒素循環に重要である。しかし、農地に施用されたアンモニア態肥料は、硝酸になると溶脱や脱窒が起こりやすくなり、環境汚染の一因となる。また、窒素肥料価格の近年の高騰からも、農作物の施肥窒素利用効率を向上させる技術の開発が必要である。そのーつとして生物的硝化抑制(Biological Nitrification Inhibition、BNI)がある。植物の中には根に硝化抑制物質をもつものがあり、熱帯イネ科牧草Brachiaria humidicolaではほ場において高い効果をもっている。本研究では、肥料損失と環境負荷を抑えた農業システムの構築のため、有用イネ科植物であるソルガムの生物的硝化抑制物質の精製・同定および特性調査を行う。
成果の内容・特徴
  1. ソルガムの根には、水耕液中に放出される親水性の硝化抑制物質としてMHPP(methyl 3-(4-hydroxyphenyl) propionate)とsakuranetin(5,4'-dihydroxy-7-methoxyflavanone)、およびジクロロメタンでの根の洗浄により得られる疎水性の抑制物質としてsorgoleone(2-hydroxy-5-methoxy-3-[(8'Z,11'Z)-8',11',14'-pentadecatriene]-p-benzoquinone)がある(図1)。
  2. 水耕栽培においてソルガムの根からの親水性硝化抑制物質の放出は、NH4+により促進される(図2)。すなわち、NH4+を添加した1日目の硝化抑制物質採取用溶液には高い抑制活性がみられる。しかし、2日目、3日目にNH4+を取り除くと日ごとに活性は低下し、4日目に採取用溶液にNH4+を再添加すると抑制活性は1日目とほぼ同等程度までに回復する。
  3. 硝化抑制物質採取用溶液のpHが親水性硝化抑制物質の収量に大きく影響する(図3)。pH3と5では硝化抑制物質の収量は同程度に高いが、7に上げると大きく低下する。
  4. 組換えアンモニア酸化細菌Nitorosomonas europaeaを用いたバイオルミネセンスアッセイ法による測定から得られる上記3物質の抑制活性のED80(活性を80%抑制する実効濃度)は、sakuranetinで0.6µM、sorgoleoneで12.0µM、そしてMHPPで120µM以上である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. ソルガムにおける生物的硝化抑制作用の実用化研究に向けて基礎的知見として有用である。
  2. ソルガムの生物的硝化抑制作用が発揮される圃場条件や土壌条件下での各物質の硝化抑制効果を今後速やかに明確にするとともに、選抜育種での使用に耐えるスクリーニング手法を確立する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026083
カテゴリ 育種 水耕栽培 施肥 ソルガム

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