改変ペプチド・ポリマー複合体を用いた抗菌繊維加工技術の開発

タイトル 改変ペプチド・ポリマー複合体を用いた抗菌繊維加工技術の開発
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究課題名
研究期間 2010~2012
研究担当者 石橋純
笠嶋めぐみ
中村允
解野誠司
鈴木秀明
永野富郎
発行年度 2011
要約 抗微生物タンパク質改変ペプチドを利用した新規抗菌素材を作出するため、改変ペプチド・ポリマー複合体を用いた繊維加工技術を開発した。
キーワード 抗菌ペプチド、ポリマー加工、抗菌性素材
背景・ねらい 健康な生活の確保や感染症の予防は重要な課題であり、国民の清潔志向も非常に高いことから、新しい抗菌性素材の開発が求められている。抗菌性素材の市場規模は国内でも年間8千億円と言われ、非常に多くの需要が見込まれる分野である。 当研究所はこれまで、抗微生物タンパク質であるカブトムシディフェンシンを改変することにより、強い抗微生物活性を持つ「改変ペプチド」を作出することに成功した。さらにこのペプチドの優れた抗菌特性を活用し、耐久性に優れた抗菌性素材を作出するため、改変ペプチドを繊維分子に直接共有結合させた抗菌綿布の開発を行った。しかしこの改変ペプチドの固定化方法は、加工プロセスが極めて煩雑であること、さらに綿布に直接化学反応を行うため、使用する溶媒や反応試薬による綿布へのダメージが懸念された。そこで、より簡便な抗菌加工法の開発を目指し、改変ペプチド・ポリマー複合体を用いた抗菌加工技術の開発を行った。
成果の内容・特徴
  1. 高分子素材の原料として汎用されるメタクリル酸に、アミノ基を導入したポリエチレングリコールをスペーサー分子として付加し、ラジカル重合によりスペーサー付加メタクリル酸ポリマー(polymethacrylate-PEG-NH2)を合成した。次にこの化合物のスペーサー末端に、マレイミド基を導入したポリマー(polymer 1)を合成し、さらに改変ペプチドの一種である「改変ペプチドA」のN末端にシステイン残基を付加した Cys-peptide Aを、マレイミド基に結合させた改変ペプチド・ポリマー複合体(polymer 2)を得た。同様に、改変ペプチドAのC末端にシステイン残基を付加した改変ペプチドpeptide A-Cysを結合させた改変ペプチド・ポリマー複合体(polymer 3)を得た(図1)。
  2. この改変ペプチド・ポリマー複合体を綿布に対してコーティング処理を施し、乾燥させることにより抗菌加工を行った。
  3. 得られた加工綿布の抗菌活性は、繊維評価技術協議会の定める方法に基づいて菌液吸収法にて評価を行い、洗浄およびオートクレーブによる滅菌操作を繰り返しながら耐久性の分析を行った。
  4. その結果、システイン残基をN末端に付加したpolymer2、およびC末端に付加したpolymer3をコーティングした加工綿布は共に強い抗菌活性を示し、この活性は10回以上の繰り返し洗浄、およびオートクレーブ処理を施しても失われず、強い耐久性を示した(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 今回開発した抗菌繊維加工技術は、現在汎用されている繊維加工と同じ作業プロセスで行える。従って既存の設備がそのまま転用できるため、新たな設備投資を行わずに繊維の抗菌加工が行える。
  2. ペプチド合成のコストダウンを図ることにより、抗菌性素材として幅広く利用されることが期待される。
カテゴリ 加工 乾燥 くり コスト 評価法

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