クライオプレートを用いた栄養繁殖性植物遺伝資源の超低温保存法

タイトル クライオプレートを用いた栄養繁殖性植物遺伝資源の超低温保存法
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究課題名
研究期間 2010~2011
研究担当者 山本伸一
福井邦明
新野孝男
発行年度 2011
要約 アルミニウム製のクライオプレートを用いた超低温保存法は、茎頂をプレート上に固着して脱水処理等を行うため、作業効率の向上、茎頂の損傷の最小化や冷却・加温速度の急速化による高い再生育率を得ることができ、栄養繁殖性植物遺伝資源などの長期保存に有効である。クワ、ミントでは80%以上の再生育が確認され、長期保存事業への利用が可能である。
キーワード 栄養繁殖性、長期保存、ガラス化、クライオプレート、液体窒素、遺伝資源
背景・ねらい 実用的な栄養繁殖性植物遺伝資源の超低温保存法は、緩速予備凍結法、ガラス化法、ビーズ乾燥法等各種開発されているが、実際には各国ジーンバンクにおける応用はあまり進んでいない。その原因の一つとして、これらの方法は大規模な保存事業を行うには手法それ自体がシステマティックにできておらず、高度な技術をもつテクニシャンが必要であることがあげられる。本研究では、アルミニウム製のクライオプレートを製作し、ガラス化法とドロップレット法を改良して、操作性に優れたアルミニウム製のクライオプレートを用いたガラス化法(クライオプレート法)を開発する。このことにより、大規模な事業保存に適合した超低温保存手順を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 培養茎頂の操作性向上を目的として2mlのクライオチューブに適合するアルミニウム製クライオプレートを製作した(図1)。
  2. ミント、熱帯原産クワ、イチゴ、カーネーション、除虫菊の培養植物体を材料として、ガラス化法とドロップレット法を組み合わせて改良した方法(図2)により保存手順の標準化と液体窒素保存後の再生育を検討した。
  3. 超低温保存後の再生育向上のためには、茎頂切り出し前の前処理、脱水耐性付与処理、脱水処理等の各条件を最適化することが必要であり、上記作物種それぞれについて最適な処理条件を決定した(文献参照)。
  4. ミント、熱帯原産クワ、イチゴ、カーネーション、除虫菊、各々の最適条件下でそれぞれ平均88%、87%、81%、95%、77%と液体窒素保存後の非常に高い再生育が得られた。
  5. クライオプレート法には
    1. 茎頂を固着したプレートを移動するため、効率的な処理が可能である
    2. 茎頂の損傷や亡失の危険性が大幅に減少する
    3. 冷却・加温効率がよく、再生育率が非常に高い
    4. 短期の練習により全てのスタッフが実行できる
    などの利点があり、大規模な事業保存に適した手法である。
  6. 農業生物資源ジーンバンク事業では、現在までに、ミント、熱帯原産クワ、イチゴ、イグサなど合計100系統の栄養繁殖性植物遺伝資源を各10プレート(100芽)ずつ事業保存している。
成果の活用面・留意点
  1. クライオプレート法を用いることで、栄養繁殖性植物遺伝資源の安定的かつ低コストな長期保存法としての超低温保存の利活用が促進されると期待できる。
  2. クライオプレート法の普及のためには、対象作物種を広げ、適用例を増やしてマニュアルを作成し、積極的に広報することが必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026033
カテゴリ いぐさ 遺伝資源 乾燥 カーネーション 低コスト 繁殖性改善

この記事は