遺伝子組換え技術を用いてポプラの成長を制御することに成功!

タイトル 遺伝子組換え技術を用いてポプラの成長を制御することに成功!
担当機関 (独)森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 伊ヶ崎 知弘
篠原 健司
発行年度 2011
要約 遺伝子組換え技術を用いて、成長に関する植物ホルモン・ジベレリンを活性型にしたり、または不活性型にしたりする酵素遺伝子を制御し、ポプラの成長量を増やしたり減らしたりすることに成功しました。
背景・ねらい 樹木は、多年生で長期間にわたり成長し炭酸ガスを固定することができます。有用形質を持つ樹木の成長速度を変えることができれば、成長を早くしたものは地球温暖化対策として森林の衰退した地域での植林やバイオマス生産を目的とした植林に、また成長を遅くしたものはセダムや芝と同程度の育成条件での屋上緑化等の都市緑化に利用できます。樹木の成長の制御には、成長の調節が起こるメカニズムを知る必要があります。そこで、モデル実験樹木として研究が進められているポプラから成長に関わる植物ホルモンの一つとして知られている活性型ジベレリンの合成酵素遺伝子や代謝酵素遺伝子を単離しました。そして、遺伝子組換え技術を用いて遺伝子の発現量を制御することで、活性型ジベレリンの合成量を制御し、ポプラの成長を制御することに成功しました。
成果の内容・特徴

研究の背景と目的

植物の成長を主に制御している因子として、植物ホルモンのジベレリンが知られています。そこで、ポプラの成長に関しても、ジベレリンが大きく関与しているであろうと予測し、既存の植物の情報をもとに、ポプラからジベレリン合成酵素遺伝子や代謝酵素遺伝子を探しました。

樹木の成長を制御する遺伝子の単離と機能の解析

ポプラから、15個の合成酵素遺伝子と、13個の代謝酵素遺伝子を見つけました。それぞれの遺伝子について、ポプラのどの器官や組織で働いているのか、またシロイヌナズナで働かせた場合に成長にどのような影響を及ぼすのかを調べました。その結果、多くの遺伝子は、それぞれが器官や組織特異的に発現していること、それぞれの代謝酵素遺伝子を大量に作るように組換えたシロイヌナズナは顕著に成長が抑制されることがわかりました。しかし、これらの組換えシロイヌナズナは、外から活性型のジベレリンA3を与えると、成長量が回復し、正常に種子を生産しました。

ジベレリン代謝酵素遺伝子を利用した成長抑制ポプラの作出

ジベレリン代謝酵素遺伝子PnGA2ox1を大量に作るようにポプラを改変することで、ポプラの成長量を減少させることができるのではと考え、遺伝子組換え技術を用いて組換えポプラを作出しました。PnGA2ox1を大量に作る組換えポプラは、成長量が約40%に減少していましたが(図1)、活性型のジベレリンA3を与えると、成長量が回復しました。また、ジベレリン合成酵素遺伝子や代謝酵素遺伝子の発現量を測定したところ、合成酵素遺伝子の発現が顕著に増加しており、遺伝子組換えによりPnGA2ox1の発現量が増加した影響を緩和していることが推測できました。そこで、活性型ジベレリンの合成酵素遺伝子PnGA20ox1を大量に作る組換えポプラを作出したところ、今度は初期成長が約2倍に増加した組換えポプラが得られました(図2)。今後、この成果を利用し(図3)、樹木を植栽する場所に適した成長量に制御する技術の研究開発を進めます。

本研究は、独立行政法人森林総合研究所交付金プロジェクト「環境保全に貢献するスーパー樹木の創出に向けた基盤技術開発」により行いました。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010026014
カテゴリ 温暖化対策

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