長期優良住宅や公共建築物部材の耐朽性を短期間で見極める

タイトル 長期優良住宅や公共建築物部材の耐朽性を短期間で見極める
担当機関 (独)森林総合研究所
研究課題名
研究期間
研究担当者 桃原 郁夫
大村 和香子
西村 健
松永 浩史
発行年度 2010
要約 保存処理木材や保存処理木質材料の耐朽性評価には、これまで長い年月が必要とされていましたが、試験体サイズや評価指標を見直すことで耐朽性評価にかかる年月を大幅に低減させることができました。
背景・ねらい 木造住宅や公共木造建築物を建てていくことが地球温暖化防止につながることが認められていますが、そのためには耐朽性の高い木材・木質材料を正しく選択することが重要となります。本研究ではこれらの耐朽性を短い期間で正しく評価する方法の開発をおこないました。
これまで木材・木質材料の耐朽性を評価する方法として、日本工業規格では土に埋めた杭の腐り方を目で見て評価する方法が記載されていました。この方法は、信頼性がある反面、結果を得るまでに数年から十数年という長い年月が必要であるという問題点が指摘されていました。そこで本研究では、室内腐朽試験で使用するサイズの試験体を土に埋めることにより、信頼性を維持しつつ耐朽性を短期間で評価する方法を開発しました。
成果の内容・特徴

これまでの試験法

木材や木質材料の耐朽性を評価する方法の特徴を表1に示します。室内防腐性能試験(写真1)では、耐朽性を早く評価できる反面、特定の菌に対する性能しか評価できないため信頼性に欠けるという問題点があります。これに対し、ファンガスセラー試験*(写真2)や野外試験(写真3)では、土壌や空気中にいる様々な木材腐朽菌や微生物がいる環境での耐朽性能を評価できるため信頼性は高いのですが、評価にかかる時間が長いという問題点がありました。

その解決方法

試験期間が短いけれども信頼性に欠ける室内防腐性能試験と、試験期間は長いけれども信頼性が高いファンガスセラー試験や野外試験の長所を取り入れることで、信頼性が高く試験期間の短い評価方法を開発しました。具体的な方法は以下の通りです。
1.試験体サイズ
試験体サイズを室内防腐性能試験と同じ2×2×1cmとしました。体積に対する表面積の割合を高め、腐朽菌が試験体内部に侵入しやすくすることで、腐朽が早く進行するようになります。
2.溶脱操作
使用時に水に溶けて木材や木質材料から出ていってしまう成分や空気中に揮散して失われてしまう成分を予め取り除いておくために、室内防腐性能試験に取り入れられている溶脱操作を行います。
3.腐朽操作
試験体をファンガスセラーや屋外の土壌に埋め、軽く土を被せます(写真4)。土に埋めることで、特定の菌に対する性能だけでなく、不特定多数の腐朽菌や微生物によって引き起こされる腐朽に対する効果も確認することが可能となります。
4.耐朽性評価方法
試験体を定期的に土から掘り出し乾燥します。質量を測定し、腐朽によって元の質量の何%が失われたのかを計算します(図1)。
ファンガスセラー試験や野外杭試験では専門家が目で見て腐朽の程度を6段階に分けていましたが、質量減少率で評価するように変えたことで、誰が評価しても同じ結果が得られるようになると共に、初期の腐朽を精度良く判定できるようになりました。

本成果を活用することで、新規木材保存剤や高耐朽木質材料の耐朽性評価期間を1年に短縮することが可能となるため、今後の長期優良住宅や木造公共建築物で使用する高耐朽性部材の開発が加速することが期待されます。

*ファンガスセラー試験
接地状態での耐朽性を、無殺菌土壌を用いて室内で評価する試験方法。試験をおこなう部屋の温度を25-30℃に保つことにより、野外でおこなう試験と比較して腐朽が数倍速く進行します。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025973
カテゴリ 乾燥 木材腐朽菌

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