カワウの採食特性の解明-飼育下のカワウから-

タイトル カワウの採食特性の解明-飼育下のカワウから-
担当機関 群馬県水産試験場
研究課題名
研究期間 2007~2009
研究担当者 田中英樹
鈴木究真
吉澤和具
小西浩司
発行年度 2010
要約 異なる遊泳能力(突進速度)を有する魚種が同居する場合、カワウは採餌効率を優先して捕らえ易い魚から捕食する傾向があるが、一方で魚種間の遊泳能力が一様な環境でも魚種間の捕食尾数に差があり、好むタイプの魚種があることも示唆された。また、カワウは優れた採餌能力を駆使し、魚種や水深に関係なく採餌を成功させたが、適切な水中構造物の設置によりカワウの採餌機会を減少させることが可能である。
背景・ねらい カワウの食害を効果的に防除するには、その採餌生態を把握した上で適切な対策を講ずることが重要である。しかし、様々な採餌生態の仮説を実証するような科学的試験研究は殆ど行われていないのが現状である。野外の調査からカワウの採餌生態を定量的に把握することは難しいため、本研究では場内の試験池と飼育下のカワウを用いた試験から餌魚種選好性と採食場所特性について明らかにした。
成果の内容・特徴 試験は魚を収容した試験池に1羽或いは5羽のカワウを同時に放鳥し、単位時間あたりの捕食魚種と尾数を記録した。
  1. 1羽放鳥下において、アユ、ヤマメ、コイを同居させた場合、コイはカワウに対して 極度に怯え池の隅に群集する異常遊泳を示し、極めて被食され易い状態にあったが、これを積極的に捕食しないカワウも認められた。カワウの餌選択性は個体差が大きく、結果的にヤマメとコイを好むタイプに分かれたが、どの個体もアユの捕食数が少なかった(図1)。一方、アユとウグイの単一魚種間の被食数に有意な差はなかったが、両種を同居させた場合、ウグイの被食数が有意に多く(図2)、カワウは遊泳能力の劣る魚種を選択的に捕食する傾向にあった。一方、アユ、ヤマメ、コイを5羽同時に捕食させた場合、全魚種が異常遊泳を示し捕え易さは同じ状態にあったが、アユとヤマメに比べコイの被食数は有意に低かった(図3)。
  2. 1羽放鳥下における、水深0.25m、0.50m、1m間のアユの被食数に有意な差は認められなかった。また、水中に不均質構造(笹伏せ)を設け、アユとウグイの利用度を調べた結果、アユはこれをカワウに対する逃避場所として利用せず、被食数は笹の有無で変わらなかったが、ウグイの被食数は笹を設置した場合、有意に低かった(図4)。
成果の活用面・留意点 カワウの採餌効率は水深により変化せず、極浅い場所でも防除対策は必要である。また、笹の設置法や密度などによっては、魚の逃避場所としての効果が減少する可能性がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025944
カテゴリ 防除

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