ウナギ完全養殖の成功

タイトル ウナギ完全養殖の成功
担当機関 (独)水産総合研究センター
研究課題名
研究期間 2005~2011
研究担当者 今泉 均
増田賢嗣
橋本 博
小田憲太朗
薄 浩則
田中秀樹
野村和晴
風藤行紀
発行年度 2010
要約 これまで開発されてきたウナギの催熟技術及び飼育技術を応用し、人工養成ウナギを用いて催熟を行った。その結果、平成22年3月から5月にかけ、10尾中9尾の雌から215万粒を採卵し、人工授精により2世代目の人工ふ化仔魚を得ることができ、世界初の完全養殖を達成した。平均受精率は65.9%、平均ふ化率は37.0%、およびふ化6日後平均生残率は34.8%であった。
背景・ねらい 天然シラスウナギの採捕量は過去数十年間にわたり減少傾向が続き、種苗の不足と大幅な価格変動は養鰻業の経営を圧迫している。将来的に人工種苗の大量生産を可能とするため、また天然資源への負担の軽減を促進する意味からも、その基礎となる完全養殖による人工種苗生産の実現が急務とされてきた。養殖研究所と志布志栽培漁業センターではこれまで開発されてきたウナギの催熟技術及び飼育技術を応用し、世界で初めて人工養成魚の催熟を試みた。
成果の内容・特徴 平成16年から18年に生産し、養成した雄または性別不明魚16尾(平均体重384g)に対して平成22年1月12日から継続的な性腺刺激ホルモンの投与を開始した。雌と認められた10尾(平均体重313g)に対しては平成22年2月1日から毎週サケ脳下垂体抽出液の投与を行った。同年3月26日、最初に排卵した雌から25.2万粒を搾出し、人工授精により受精卵23.6万粒を得た。翌27日に19.1万尾がふ化し、ウナギの完全養殖を達成した(写真1)。これを含め催熟を行った雌10尾のうち成熟前に死亡した1尾を除く9尾で排卵が確認できた。排卵雌1尾当たりの搾出卵数(最小~最大)は 23.9万粒(12.0~32.4)、1尾当たりの受精卵数は16.0万粒(6.8~25.3)であった(図1)。平均受精率は65.9%(36.4~93.5)、平均ふ化率は37.0%(0~75.8)、そしてふ化6日後平均生残率は34.8%(0~72.2)であり(図2)、いずれの値もこれまでの人工授精による平均レベルを上回った。これらの結果により、人為的環境下でウナギのライフサイクルを管理できることを明らかにした。
成果の活用面・留意点
  • 成長が早い等、優れた特性を持つウナギを育てる育種が可能となる→大量生産への近道。
  • 本成果を元に、今後シラスウナギを大量生産する技術ができれば、シラスウナギの供給量を安定化させ、養鰻業の安定的な振興につなげられる。
  • 天然のシラスウナギの採捕量を減らせることで、資源の保護、持続的な利用が可能になる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025914
カテゴリ 育種 経営管理 飼育技術

この記事は