タイトル |
ライブマルチ資材ヘアリーベッチの畑作物栽培への利用 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ヘアリーベッチのライブマルチは雑草抑制だけでなく,夏場の地温上昇の抑制,土壌の膨軟化,保水性や排水性の向上など土壌物理性の改善にも効果がある。ライブマルチ資材としての畑作物に対する有効性は,虫害を受けにくい夏野菜や地下部を利用する作物に対して特に高い。
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背景・ねらい |
農薬やフィルムマルチは我が国の作物栽培に欠かせない農業資材として広く普及している。しかし,農薬の残留性や使用済み合成マルチ資材の廃棄処理が近年大きな社会問題になり,これらの代替資材の開発が緊急の課題となっている。そこで,雑草抑制力に優れるヘアリーベッチ(以下ベッチ)をライブマルチ資材として,化学資材に依存しない安全で省力的な栽培技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- ベッチのライブマルチ栽培は次のように行う。幅1mの平畝(うね)をつくり,秋に畝の両肩にベッチをすじ播き(20~30g/10m)する。翌春5月にベッチの茎葉を畝にかき上げ踏圧して畝を整備する。畝中央を掘り有機質肥料を投入する。作物の栽培は,苗の移植あるいは播種により,無農薬で管理する。
- ベッチマルチ区は,除草区に比べ水分含有率が高く推移し保水性が向上する(図1)。
- 日中の地温が除草区に比べ低く推移するため,夏場の高温障害を軽減できる(図2)。
- ベッチの根は畝の30~40cmの深さにまで進入し,土壌硬度が低下し土が膨軟化する(図3a)。また,土壌の透水性が高まり排水が良くなる(図3b)。
- ベッチマルチ区では,7月上旬までほとんど雑草管理の必要がなく,草が生えても土が軟らかいため抜き取りやすく,管理が楽になる(雑草量は雑草放任区の4%程度)。
- 以上のように,ベッチによるライブマルチは雑草の抑制のみならず土壌の物理性を改善する効果がある。カンコンサイやツルムラサキのような虫害を受けにくい夏野菜,ショウガやサツマイモのように地下部を利用する作物などに対しては特に効果的である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 中山間地域における環境保全的な有機栽培技術に適する。
- 踏圧後もベッチの茎葉が伸展するため,作物によっては絡みつきを防止する作業が必要である。
- 収穫期の遅い作物には,ベッチが枯死・分解した後に雑草が生えてくるため,敷き草を追加する。
- 葉菜類には虫害が発生しやすい。またナスは生理異常(着果不良)を起こす可能性がある。
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カテゴリ |
くり
高温対策
栽培技術
雑草
しょうが
除草
中山間地域
つるむらさき
なす
農薬
排水性
播種
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