水稲鉄コーティング直播でのイネミズゾウムシによる苗立ち不良の発生

タイトル 水稲鉄コーティング直播でのイネミズゾウムシによる苗立ち不良の発生
担当機関 広島総研
研究課題名
研究期間 2008~2008
研究担当者
発行年度 2008
要約
水稲鉄コーティング種子の湛水直播栽培における苗立ち不良の一因は、イネミズゾウムシの食害によるものである。
キーワード 鉄コーティング、湛水直播、苗立ち、土壌表面播種、イネミズゾウムシ
背景・ねらい
水稲鉄コーティング直播栽培は、種子表面に鉄粉を粉衣することで種子の比重と強度を高め、浮き苗と鳥害を防止できることから、従来の酸素供給剤を粉衣した種子の土中直播とは異なり、湛水条件下で土壌表面播種する技術である。本技術の普及を進める中で、一部圃場における原因不明の苗立ち不良が問題となっている。これまでの現地の実態調査で芽の食害痕が観察され、この食害痕からイネミズゾウムシなどの関与が示唆される。これまで、直播栽培においては、移植栽培に比べイネミズゾウムシの被害が多くなることは報告されているが、苗立ちに及ぼす影響については詳細な報告がない。

そこで、イネミズゾウムシが、鉄コーティング直播における苗立ち不良に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 水稲鉄コーティング種子を湛水条件下で土壌表面播種し、発芽直後にイネミズゾウムシを放飼した室内試験では、発芽直後の芽が食害を受け、苗立率は79%にとどまる。一方、カルパー粉衣種子を土中播種後湛水し、出芽直後にイネミズゾウムシを放飼した場合、葉に食害は認められるものの芽は枯死せず、苗立率の低下は認められない(図1)。
  2. 過去に鉄コーティング直播栽培で苗立ちが不良であった現地の2圃場を用い、イネミズゾウムシの影響を除去するために、湛水条件下で播種し、直後に殺虫剤のエトフェンプロックス粒剤を水面施用すると、無処理区の苗立率が中程度のH圃場では54%が70%に向上する。また、無処理区の苗立率が極めて悪いN圃場では14%が53%に向上し、目標とされる苗立率50%の水準まで向上する(図2)。
  3. 上記の現地圃場試験では、発芽直後の芽に寄生するイネミズゾウムシ成虫および芽の食害が観察される(図3)。
  4. イネミズゾウムシ成虫数は、殺虫剤処理により減少する(図4)。
  5. 上記現地の2圃場から播種籾を採取し、イネミズゾウムシの食害程度を調査したところ、殺虫剤処理によりイネミズゾウムシの被害度は、H圃場では38が12に、N圃場では48が2に軽減されており、イネミズゾウムシの食害が苗立ち不良の一因として考えられる(図4)。なお、N圃場では無処理区でのイネミズゾウムシ成虫数がH圃場より少なくても、逆に苗立率は低く被害が多い。これはN圃場の水温が低いため芽の伸長が遅く、発芽初期に加害されやすいためと推察される。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は湛水条件下で土壌表面播種する直播栽培に共通するもので、土中播種する直播栽培に比べイネミズゾウムシ成虫の被害を受けやすいと考えられる。
  2. 薬剤処理により一定の苗立率向上が認められるが、その向上程度は圃場によって差があることから、鉄コーティング直播での苗立ち不良にはイネミズゾウムシ以外の要因(土壌環境、病害等)もあると考えられる。
  3. イネミズゾウムシ成虫による苗立率の低下を防ぐためには、播種直後に薬剤防除する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025764
カテゴリ 直播栽培 水稲 鳥害 土壌環境 播種 防除 薬剤

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