メコンデルタ地域におけるキングマンダリン生育初期のグリーニング病感染率低減技術

タイトル メコンデルタ地域におけるキングマンダリン生育初期のグリーニング病感染率低減技術
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2011
研究担当者 市瀬克也
Do Hong Tuan
発行年度 2008
要約 メコンデルタ地域においてキングマンダリンを定植する場合、定植10日前にネオニコチノイド系薬剤を苗の株元に灌注処理し、グリーニング病を媒介するミカンキジラミが低密度となる雨季後半から乾季前半に定植すると、生育初期の感染率を低減できる。
キーワード ネオニコチノイド系薬剤、株元、灌注処理、ミカンキジラミ
背景・ねらい カンキツのグリーニング病(以下HLBという)は、ミカンキジラミにより伝搬される細菌Candidatus Liberibacter asiaticusにより引き起こされる。HLBの激発地であるベトナムのメコンデルタ地域では、気温の季節変化が小さく、一年を通して生長が旺盛な気候を活かしたカンキツ生産が盛んである。しかし、カンキツ樹は生育初期にHLBに感染すると早期に衰弱するため、果樹園の経済栽培年限を延ばすためには、生育初期の防除が重要である。同地域の生育初期防除の主体は、無病苗の利用とネオニコチノイド系殺虫剤の定植2か月目からの株元灌注処理による媒介虫の防除であるが、媒介虫の発生量の季節変動や、定植直後の感染について考慮されていなかった。
そこで、媒介虫密度変動による感染リスクの季節変動とネオニコチノイド系殺虫剤の作用特性を活かした施用方法に基づく、メコンデルタ地域でのキングマンダリン栽培における生育初期のHLB防除指針を示す。
成果の内容・特徴
  1. メコンデルタ地域の5カ所の無防除のキングマンダリン園では、ミカンキジラミの密度(匹/樹)は乾季の後半から雨季前半に高まる一年一山型の季節変動を示しながら、樹の成長とともに増加する。一方、HLB罹病樹率はミカンキジラミ密度が高い時期から3~5ヶ月程遅れて上昇し、それ以外の時期はほとんど上昇しない。従って、潜伏期間を考慮すると、HLB感染リスクは虫の密度が高まる乾季の後半から雨季前半に高く、雨季後半から乾季前半は低いと考えられる(図1)。
  2. ネオニコチノイド系殺虫剤は、施用10日後から有効成分が植物全体に浸透移行して殺虫効果を現し、その後2ヶ月間は効果が持続する(図2)。定植の10日前に施用することで定植直後の感染を抑制でき、感染リスクが高い乾季後半の定植でも、慣行の防除と比較して初年目の発病率を半減できる(図3)。
  3. 11月(雨季後半から乾季前半)のミカンキジラミ密度が低い時期に定植することで、無防除でも植え付け後1年間の感染を低減でき、薬剤の施用と合わせることでより高い防除効果が得られる(図3)。
  4. 以上から、メコンデルタ地域のキングマンダリン栽培におけるHLB初期防除の指針として、以下の3つを組み合わせた防除法が有効である (図4)。
    1. 生育初期感染を抑えるため、無病苗の定植をミカンキジラミの密度が低い雨季後半から乾季前半に行う。
    2. 定植直後から薬効が得られるよう、定植10日前にネオニコチノイド系殺虫剤(成分:イミダクロプリド10%)50倍液50ml株元灌注処理する。
    3. 定植後は、定植後2ヶ月おきに同剤施用を行う。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果をマニュアルとして普及組織等を通じて普及することでメコンデルタ地域のキングマンダリン栽培においてグリーニング病の初期防除を改善する。
  2. ベトナムの他の地域、他のカンキツ類に活用するためには、媒介虫の個体群動態、薬剤の作用特性が異なる可能性があるので別途検討する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025734
カテゴリ 季節変動 栽培技術 防除 薬剤 その他のかんきつ

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