長期にわたる農牧輪換システムの有効性と特徴

タイトル 長期にわたる農牧輪換システムの有効性と特徴
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2004~2008
研究担当者 下田勝久
堀田利幸
発行年度 2010
要約 亜熱帯サバンナ地域において、連作大豆畑に農牧輪換システムを導入すると大豆の生産性は回復し、放牧草地期間が長く粗放牧利用の方が、放牧草地期間が短く集約利用するより、その効果は大きい。これには、有機物の蓄積やリン酸の地表面への蓄積解消効果が大きい。
キーワード 農牧輪換、亜熱帯サバンナ、土壌有機物、放牧、連作大豆畑
背景・ねらい 亜熱帯サバンナ地帯では、セラード開発以降広大な面積の農地が開発された。しかし、これらの農地では、長年の連作により生産性の低下が問題となっている。加えて、大豆は国際商品作物であるため、価格変動が大きく、経営の不安定要因となっている。我々は、農牧輪換システムの導入により、大豆の生産性を回復させると共に、価格変動の小さい畜産の導入により経営を安定化さ、これらの問題の解決を図り効果を上げてきている。そこで、パラグアイのイグアス地域で行った2試験の農牧輪換システムの研究結果を肥料成分の地表面への蓄積解消や土壌有機物の蓄積効果を検討することで評価し、その特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 試験1における7年間放牧草地化した場合の大豆の生産量は、連作を続けた対照区の2.35倍であり、試験2における4年放牧草地化した場合(1.12倍、1.02倍)より効果が高く、放牧草地化する期間が長いほど、大豆の生産性がより回復する(表1)。
  2. 試験1と試験2では、放牧草地での家畜の生産性が異なる放牧様式で試験を行っており、前者は粗放な放牧様式(補助飼料を与えず、ネローレと呼ばれるゼブー系の牛を乾期のえさの足りない時期に補完的に放牧。)であり、後者は集約放牧(乾期に補助飼料を与え、放牧地を電気牧作で細かく区切り転牧する。牛は改良品種で放牧密度も高い。)である。前者の方が大豆の生産性回復効果が高い(表1)。
  3. 放牧草地化期間の短縮と集約放牧は有機物の蓄積を妨げ土壌環境が改善しないため(図1)、大豆の生産性回復効果を低める(表1)。
  4. ただし、草地期間が短く、家畜の生産性を高めても地表面へのリン酸蓄積の解消等はおこるため(図2)、大豆の生産性回復は可能である。これは、リン酸の地表面への蓄積解消により、大豆根の地表面への集中が緩和され、栽培された大豆が干ばつに強くなるためである(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 現在農牧輪換の普及が進みつつある南米で、大豆生産農家が自分にあった農牧輪換システムの選択の参考となる。
  2. 大豆の収穫量や価格変動が大きく比較は難しいが、我々の行った集約放牧では、大豆が高騰しない場合(20US$/60kg、2004年時点)や、旱魃時には畜産が大豆栽培の収益を上回るため、経営の安定に繋がる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025686
カテゴリ 亜熱帯 経営管理 大豆 土壌環境 品種

この記事は