屋内型エビ生産システムで飼育されたバナメイエビのおいしさ

タイトル 屋内型エビ生産システムで飼育されたバナメイエビのおいしさ
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2009~2011
研究担当者 奥津智之
進士淳平
野原節雄
野村武史
前野幸男
マーシー ワイルダー
発行年度 2010
要約 薬を使用せず環境にやさしい養殖法である屋内型エビ生産システムで飼育されたバナメイエビは、商品価値として重要なおいしさ(遊離アミノ酸含量)に関しても国内産クルマエビと同等で、外国産輸入クルマエビ類よりも優れている。
キーワード バナメイエビ、屋内型エビ生産システム、環境負荷低減、アミノ酸含量
背景・ねらい 世界の養殖エビ生産量は上昇し続けているが、養殖エビの主産地である東南アジアでは、エビ養殖池をつくるためのマングローブ林の伐採や、病気を防ぐための薬の使用などが環境問題を引き起こしており、持続的なエビ養殖を実現するには、これらの課題を解決することが必須となる。JIRCASでは、このような課題解決のために様々な研究開発に取り組んできた。その過程において、陸上養殖を可能にする「飼育水を循環させて再利用する方式」と病気の発生を防ぐための「外部と遮断された施設」を採用した屋内型エビ生産システム(ISPS)を開発し、バナメイエビを事業規模で生産することに成功している。しかし、ISPSでは生産コスト削減のために低塩分水(海水の約1/6の塩分)を使用するため、飼育水の塩濃度により組織中アミノ酸含量が変化しやすいエビ類の性質上、おいしさ(アミノ酸含量)の低下が懸念される。本研究はISPSで飼育されたバナメイエビのおいしさを科学的に評価することを目指したものである。
成果の内容・特徴
  1. 遊離アミノ酸は水産物の味を決める主成分で、甘味・うま味・風味の向上に重要な役割を果たす。ISPSで飼育されたバナメイエビ(図1)と市販の日本産養殖クルマエビおよび外国産輸入クルマエビ類4種について筋肉中の遊離アミノ酸含量を調べた。これら6種のエビでは、グルタミン、グリシン、アルギニンが主要な遊離アミノ酸である。
  2. ISPSで飼育されたバナメイエビは、輸入エビと同等の餌を給餌しているのにも関わらず、そのグリシン含量、グルタミン含量、および総遊離アミノ酸含量(遊離アミノ酸19種類の合計)は日本産クルマエビと同程度以上で外国産輸入エビよりも高い値を示す(図2)。以上のように、ISPSで飼育したバナメイエビは、「おいしさ」に重要な役割を果たす各種遊離アミノ酸含量が、日本産クルマエビと同等で外国産クルマエビ類よりも高いという、優れた品質をもち、高い市場評価も得ている。
成果の活用面・留意点
  1. 薬剤を一切使わずにバナメイエビの陸上養殖が可能なISPSは、環境に優しいだけでなく「おいしさ」という高い付加価値をもったエビを生産できる。このようなISPSは、エビ養殖による環境破壊が進んでいる東南アジア諸国はもちろん、近年、水産物の需要が高まっている欧米諸国においても普及可能な技術である。
  2. ISPSの普及は、持続的なエビ養殖業の実現に大きく貢献する。
  3. 海外におけるISPSの普及のため、対象途上地域の特性や需要に合わせたシステムの改良、コストの低減が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025683
カテゴリ 環境負荷低減 コスト 薬剤

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