カビ酵素に代わり得るセルロース系バイオマス分解酵素の開発

タイトル カビ酵素に代わり得るセルロース系バイオマス分解酵素の開発
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 小杉昭彦
Chakrit Tachaapaikoon
Rattiya Waeonukul
森 隆
発行年度 2010
要約 好熱嫌気性細菌由来のセルロソームとβグルコシダーゼの組み合わせで、セルロース分解能を飛躍的に向上できる。本酵素の組み合わせによりアンモニア処理稲わらを91%の高効率で分解でき、世界のバイオマス分解の主流技術であるカビ酵素に代わり得る糖化技術となる。
キーワード セルロソーム、βグルコシダーゼ、セルロース、稲わら、好熱嫌気性細菌
背景・ねらい 好熱嫌気性細菌Clostridium thermocellumが生成するセルラーゼ/ヘミセルラーゼ複合体(セルロソーム)は、非常に高いセルロース分解能を有する。本研究では既知菌株であるC. thermocellum ATCC27405よりも高いセルロース分解活性を有するセルロソーム生産菌を共同研究機関であるキングモンクット工科大学トンブリ校(KMUTT)の協力を得てタイの自然環境下から分離し、この細菌が生産するセルロソームとβグルコシダーゼとを組み合わせることにより、セルロソームの最終分解産物であるセロビオースによる活性阻害を回避した、高効率なセルロース分解酵素系を開発する。
成果の内容・特徴
  1. バガスペーパー残渣汚泥槽から分離されたC. thermocellum S14は既知菌株C. thermocellum ATCC27405よりも3倍高いセルロース分解能を有し、アルカリ及びより高温環境下で生育する(図1及び表1)。
  2. C. thermocellum S14からのセルロソームと好熱嫌気性細菌Thermoanaerobacter brockiiからのβグルコシダーゼを組み合わせることによりセルロソームのセルロース分解能力を飛躍的に向上させ、高濃度(10%)の結晶性セルロースでも完全分解が可能である(図2)。
  3. 脱リグニンのためにアンモニア浸漬処理(28%アンモニア水、60℃、7日間)した稲わらを用いた糖化試験では、カビ酵素では63%の糖化効率であるが、本酵素ミックスでは91%の高効率で分解することが可能である(図3)。
  4. 以上のことから、好熱性嫌気性細菌由来のセルロソームとβグルコシダーゼの組み合わせは世界のバイオマス分解技術の主流であるカビ酵素に代わり得る糖化技術と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. C. thermocellumT. brockiiの共培養によりセルロソームとβグルコシダーゼを同時に調製することができる。
  2. セルロソームはセルロース結合能を有し、植物バイオマス分解に必要な多種類の酵素が一つのセットとして働いているため、反応後に基質を添加し酵素を基質に吸着させることにより回収し再利用することが可能である。
  3. C. thermocellum S14株は(独)製品評価技術基盤機構に特許微生物(NITE P-627)として寄託されている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025681
カテゴリ トンブリ 評価法

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