イネウンカ類の薬剤感受性検定における簡易施用法の有効性

タイトル イネウンカ類の薬剤感受性検定における簡易施用法の有効性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究課題名
研究期間 2008~2010
研究担当者 真田幸代
松村正哉
発行年度 2010
要約 イネウンカ類の薬剤感受性検定で行われている一般施用法のマイクロアプリケーターに比べ、安価なディスペンサーを使用した簡易施用法はトビイロウンカとセジロウンカに適用可能である。ヒメトビウンカではコントロールに比べ死亡率が高く、推奨できない。
キーワード 微量局所施用法、薬剤感受性検定、簡易施用法、イネウンカ類
背景・ねらい 東アジア地域を広域移動するイネウンカ類(トビイロウンカ・セジロウンカ・ヒメトビウンカ)には、近年いくつかの殺虫剤に対する感受性低下が起こっている。これらの防除のためには地域全体で同一手法を用いた薬剤感受性のモニタリングが必要である。これまでウンカ類の薬剤感受性検定で一般的に使われているアプリケーター(図1右:施用量0.08μl/個体)は高価であり、アジア地域での導入が進んでいない。このため、安価なアプリケーター(図1左:施用量0.24μl/個体)を使用した簡易施用法の普及が望まれているが、安価なアプリケーターは供試虫1個体あたりの薬液施用量が比較的多く、薬液の溶媒自体が試供虫の死亡率を高めるおそれがある。そこで、溶媒として一般的に使われるアセトンがウンカ類死亡率に及ぼす影響を調べ、簡易施用法の有効性を検証する。
成果の内容・特徴
  1. イネウンカ3種とも、アセトンの施用量が増加するにつれ死亡率は上昇する(図2)。トビイロウンカでは個体あたり施用量0.32μl以上で死亡率が対照区(アセトン施用量0μl)より有意に高くなる(図2)。セジロウンカでは0.28μl以上で死亡率が対照区より有意に高くなる(図2)。ヒメトビウンカでは0.24μl以上で死亡率が対照区に比べ有意に高くなる(図2)。
  2. アセトン以外の溶媒として一般的に使用されるメタノールについても、ヒメトビウンに0.24μl施用すると死亡率が有意に高くなる(図3)。
  3. 2つの施用方法を用いて殺虫剤BPMCに対する薬剤感受性検定を行うと、トビイロウンカとセジロウンカでほぼ同じ検定結果を得ることができる(図4)。一方、ヒメトビウンカではLD50値はほぼ同様であるが、簡易施用法ではコントロールの死亡率が高い(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. トビイロウンカとセジロウンカでは、供試虫1個体あたり0.24μl以下の薬液を施用することができるアプリケーターを使用した簡易施用法で、一般施用法とほぼ同等の検定結果が得られる。
  2. ヒメトビウンカでは施用量が0.24μlになると溶媒自体による死亡率が無視できないほど高まる。このため簡易施用法はヒメトビウンカでの使用は推奨できない。
  3. 東アジア・東南アジア地域の研究者を対象として簡易施用法の講習会を開催しており、この簡易施用法を用いたウンカ類の薬剤感受性モニタリングが各国で行われている。
  4. 薬剤感受性検定にはアセトン施用量ができるだけ少ない手法を用いるべきである。従って、機器が入手困難などの理由で一般施用法が適用不可能な場合にのみ、簡易施用法の適用を推奨する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025585
カテゴリ ヒメトビウンカ 防除 モニタリング 薬剤

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