周年放牧肥育による褐毛和種去勢牛の増体と肉質

タイトル 周年放牧肥育による褐毛和種去勢牛の増体と肉質
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 中村好德
金子 真
加藤直樹
林 義朗
常石英作
山田明央
発行年度 2010
要約 粗飼料利用性に優れる褐毛和種去勢雄牛を肥育素牛として、少量の配合飼料やトウモロコシサイレージを併給した周年放牧により、約24ヵ月齢で700kg前後の出荷時体重を示し、肉質等級2等級の枝肉生産が可能である。
キーワード 褐毛和種、肉用牛、周年放牧、肥育
背景・ねらい 少量の粗飼料と多量の穀物飼料に依存する慣行の肉用牛生産方法は、飼料自給率の低下や土地基盤に対する糞尿量のアンバランス、国際的な飼料価格の変動に弱いなどの構造的な脆弱さを持つ。また、農村地域における農業人口の高齢化・専業農家数減少等による耕作放棄地の増大の解消が喫緊の問題である。
これらの問題を解決するために、周年放牧が可能な九州低標高地域において、放牧を最大限に活用した新しい肉用牛生産方法の開発を目指す。これまで周年放牧による子牛生産技術を開発しており、ここでは周年放牧と自給飼料による肥育の可能性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 褐毛和種去勢牛を用いて、必要面積50a/頭以上の暖地型牧草(バヒアグラス)放牧地と寒地型牧草(イタリアンライグラス)放牧地を利用した周年放牧を行い、2009年度は配合飼料1.5kg/頭/日を給与し、2010年度は20ヵ月齢よりトウモロコシサイレージを併給する(図1)。
  2. 補助飼料として配合飼料を全期間1.5kg/頭給与すると、バヒアグラス草地放牧期間の増体は0.8±0.2kg/日で、イタリアンライグラス草地放牧期間でも1.0±0.1kg/日と良好である(2009年度)。また、配合飼料を給与しない2010年度はバヒアグラス放牧時の増体は0.4±0.1kg/日と停滞するが、20ヵ月齢からトウモロコシサイレージを6.8kg(乾物)/頭/日を併給することにより、1.4±0.4kg/日と回復が可能である(2010年度)(図1)。
  3. 周年放牧肥育牛(2009、2010年度)を同月齢で出荷時体重が同水準の慣行肥育牛(褐毛和種去勢牛)と比較すると、脂肪交雑基準(BMS No.)は有意に低く、脂肪交雑が少ない。一方、牛脂肪色基準(BFS No.)は有意に高く、脂肪の色は黄色になる。周年放牧肥育牛は牛枝肉格付評価において肉質等級2級を示す(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 九州低標高地域での周年放牧による牛肉生産技術を確立するための基礎的資料となる。
  2. 肥育素牛は子牛市場より購入し、育成時の飼養状態等前歴の影響は不明である。
  3. 周年放牧による季節ごとの草地の必要面積は、放牧草の種類と飼料成分の季節変動により変化するため注意する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025572
カテゴリ イタリアンライグラス 寒地 季節変動 出荷調整 飼料利用性 トウモロコシサイレージ 肉牛

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