冬季放牧時のイタリアンライグラスの栄養価は播種時期により大きく変動する

タイトル 冬季放牧時のイタリアンライグラスの栄養価は播種時期により大きく変動する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 小林英和
松本和典
高橋佳孝
山本直幸
安藤 貞
発行年度 2010
要約 冬季放牧時のイタリアンライグラスは、播種が早いほど草量は多く、逆にTDNなどの栄養価は低くなる。この栄養価の変動は放牧牛の体重に影響を与える水準であることから、肥育や維持等の目的に応じて播種時期を選択することが重要である。
キーワード イタリアンライグラス、牛、冬季放牧、黒毛和種、播種時期
背景・ねらい 近畿中国四国地域では、野草などを利用した黒毛和種繁殖雌牛の小規模移動放牧が広まりつつあるが、牛の養分摂取量の点から、このような体系での放牧は11月までが限界であるとされており、放牧期間を延長して冬季にも放牧するためには、冬季放牧用の飼料の確保が重要となる。そこで、当該地域で広く採草栽培されているイタリアンライグラスを用いた冬季放牧技術の確立を目的に、冬季イタリアンライグラスの草量・栄養価に及ぼす播種時期の影響を明らかにするとともに、実際に冬季放牧を実施した際の放牧牛への影響を検討し、放牧を実施する牛の状態・目標に応じた冬季放牧用草地造成技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 冬季のイタリアンライグラス(品種さちあおば)においては、早播(9/17)・標準播(10/7)・遅播(10/28)の順に播種が早くなるほど草量は多くなり、逆に可消化養分総量(TDN)などの栄養価は低くなる(図1)。
  2. 早播で造成したイタリアンライグラス草地での黒毛和種経産牛(非妊娠)の冬季放牧(12月9日入牧、補助飼料として濃厚飼料を1kg/頭/日給与した昼夜放牧)では、体重に有意な変動は生じない(表1)。また、遊離脂肪酸(FFA)、尿素態窒素(BUN)、アルブミン(ALB)などの血液性状に関しても有意な変動は認められない。
  3. 標準播で造成したイタリアンライグラス草地での黒毛和種経産牛(非妊娠)の冬季放牧(12月16日入牧、補助飼料として濃厚飼料を1kg/頭/日給与した昼夜放牧)では、体重は有意に増加する(表2)。血液性状に関しては、放牧草中の非繊維性炭水化物(NFC)の蓄積が原因と推察されるBUNの低下が認められるが、その値は適正範囲内であり、長期的なタンパク質代謝の指標となるALBにも変動は認められない。
  4. 以上のように、冬季イタリアンライグラスの生育・栄養価は、播種時期により大きく変動することから、繁殖牛のように体重維持を目指す場合には栄養価が高くなりすぎず、かつ草量が多くなる早播で、肥育牛のように増体を目指す場合には高栄養となる標準播で草地を造成するなど、目的に応じて播種時期を選択することが重要である。
成果の活用面・留意点
  1. 本試験では、最低気温が15度となる時期を標準播の播種時期として設定しているが、立地条件・気象条件等によりイタリアンライグラスの生育に差が出るため、それぞれの地域に応じた播種時期を設定する必要がある。
  2. 本試験では、1頭あたり1日10kg(乾物重)を目安に立毛貯蔵した草地で放牧を実施した。牧養力としては早播:36日・頭/10a、標準播:13日・頭/10a程度となるが、これは島根県大田市での値であり、地域により変動するため、注意を要する。
  3. イタリアンライグラスはイノシシやシカのエサとなりうることから、これらの鳥獣害の発生地域では、侵入を防止するための対策(忍び返し柵など)を実施する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025521
カテゴリ イタリアンライグラス シカ 鳥獣害 播種 繁殖性改善 品種 放牧技術

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