牛肉中の高濃度ビタミンEは一部のラクトンの生成を抑制する

タイトル 牛肉中の高濃度ビタミンEは一部のラクトンの生成を抑制する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究課題名
研究期間 2008~2010
研究担当者 渡邊 彰
樋口幹人
柴 伸弥
今成麻衣
米内美晴
発行年度 2010
要約 黒毛和牛挽肉に抗酸化剤としてビタミンEを添加すると濃度の増加に伴い黒毛和牛の香気成分といわれるラクトン(γC8及びγC9)の貯蔵による増加が抑制される。
キーワード 黒毛和牛肉、ビタミンE、ラクトン、香り
背景・ねらい 黒毛和牛肉には特徴的な甘い香りがあると言われている。この香りを構成する成分としてラクトン類が注目されており、特にガンマ-ノナラクトン(γC9)が重要視されている。ラクトン類はもともと粉乳の劣化成分として研究されたが、チーズやバターでは好ましい成分として扱われ、その前駆体は脂肪酸であり、生成過程には酸化、加熱、微生物などが関与していると報告されている。一方、畜肉生産においては食肉に抗酸化力を付与する目的でビタミンE(α-トコフェロール)を給与飼料に添加することが積極的に行われている。そこで、ここではビタミンE がラクトン類の生成に及ぼす影響を調べることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. ラクトン類(9種類)はキャピラリーカラムDB-17MS(30m×0.32mm×0.25μm)を用いて2008年度成果情報で報告したSPME-GCMS法に準じて分析出来る(図1)。
  2. 黒毛和種牛挽肉にビタミンE無添および無添加によりビタミンE含量の異なるサンプルを調製し(1.9, 2.7, 6.1, 10.7ppm)、微生物の影響を排除する目的でクロルテトラサイクリンを添加(30ppm)する。これらを2℃で10日間貯蔵するとビタミンEの増加に伴って脂質過酸化度が低下する(図2(a))。
  3. 上記サンプルより融解脂肪を採取し、そのヘッドスペース(サンプル上部の空間)中のラクトン類を測定するとビタミンEの増加に伴ってガンマ-オクタラクトン(γC8、未掲載)およびγC9(図2(b))が減少する。
成果の活用面・留意点
  1. 分析方法については平成20年度成果情報「牛肉中の甘い香りを含む揮発性物質を迅速・簡便に測定する方法」を参照。
  2. 給与飼料により牛肉中のビタミンE含量を高めると牛肉に添加した場合よりも高い抗酸化力を示すことが報告されている。
  3. Mitsumotoら(1991,1995)のホルスタイン種を用いた報告では色調の安定性およびドリップロスの抑制には3.5ppmおよび6.7ppmのビタミンEが必要であり、黒毛和牛肉では2.4ppmで色調安定性に寄与する(Mitsumoto,1995)とされている。脂肪交雑の高い黒毛和牛ではドリップロスの懸念は少ないため、香りに寄与するラクトン類の生成を考慮するならばビタミンE含量を不必要に高濃度にすることは望ましくない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025491
カテゴリ くり 肉牛

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