トマトの細菌性病害に対する低分子量キチンの発病抑制効果

タイトル トマトの細菌性病害に対する低分子量キチンの発病抑制効果
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究課題名
研究期間 2009~2010
研究担当者 門田育生
花田 薫
堀田(吉田)優理子
又平芳春
発行年度 2010
要約 低分子量キチン資材をトマト茎葉に散布し、その2日後にトマト斑点細菌病菌を接種すると発病が明瞭に抑制される。この効果は、ビニールハウスに栽培したトマトへの接種試験でも実証され、斑点細菌病およびかいよう病に対して登録農薬と同等である。
キーワード 低分子量キチン、トマト、斑点細菌病、かいよう病
背景・ねらい キチンは糸状菌の細胞壁構成成分の一つであるが、これが分解されて生じた断片は植物の病害抵抗性を誘導するエリシター活性を有することが知られている。この特性を利用すれば様々な病害の抑制が可能になると考え、低分子量キチン資材(分子量10,000を主体とするキチンを20~25%含有する;LMC)を開発してキャベツ萎黄病や根こぶ病の発病抑制に有効であることを明らかにしてきた。ここでは、細胞壁にキチンを持たない細菌が引き起こす病害に対してどの程度の発病抑制効果があるかについて、トマト斑点細菌病およびかいよう病を対象にして検定する。
成果の内容・特徴
  1. トマト斑点細菌病菌の接種9、7、4、2日前、接種直前および接種翌日のいずれか1回、LMCの2000倍液(キチン濃度約100ppm)をポット栽培のトマト苗の茎葉に散布すると、接種2日前の処理個体において有意な発病抑制効果が認められる(表1)。
  2. ビニールハウスに移植した第7~8葉期のトマト茎葉にLMCを1週間間隔で2回散布し、その2日後に斑点細菌病菌を噴霧接種すると、無処理区に比較して発病が明らかに抑制される。その効果は登録農薬であるカスガマイシン・銅水和剤を散布した場合と同等である(図1)。
  3. 2.と同様にLMCで処理したトマトの茎葉にかいよう病菌を噴霧接種すると、無処理区に比較して発病が明らかに抑制される。その効果は登録農薬であるカスガマイシン・銅水和剤を散布した場合とほぼ同等である(図2)。また、供試したトマト2品種(「桃太郎」および「大型福寿」)において発病抑制効果に違いはない。
  4. LMCの40倍液(キチン濃度約5,000ppm)を含む培地に、接種に供試したトマト斑点細菌病菌(MAFF301295株)あるいはかいよう病菌(MAFF301518株)を移植しても生育は阻害されない。よって、LMC散布による発病抑制効果は抗菌性によるものではない。
成果の活用面・留意点
  1. ビニールハウスで実施した試験は、LMC散布によって最も発病抑制効果が高くなる処理2日後に病原細菌を接種している。したがって、病原細菌の感染時期が様々に変動する自然発生条件での効果については別途検定する必要がある。
  2. かいよう病については、茎葉への噴霧接種によって葉に生じる病斑を対象としたものであり、種子伝染あるいは土壌伝染による萎凋症状等での効果を見たものではない。
    LMCの発病抑制効果は宿主抵抗性が誘導されて発現したと推定されるが、その機構はさらに解析する必要がある。
    LMCは農薬登録されていないので、現時点で病害防除剤としての利用はできない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025488
カテゴリ 萎黄病 キャベツ 抵抗性 トマト 農薬 品種 病害抵抗性 防除

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