トマト褐色根腐病発生履歴が異なる土壌の糸状菌群集構造の特徴

タイトル トマト褐色根腐病発生履歴が異なる土壌の糸状菌群集構造の特徴
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 関口博之
発行年度 2010
要約 トマト褐色根腐病発生履歴がない土壌では、糸状菌群集の類似性が高く、さらにChaetomium属とMortierella属が特徴的である。これらの菌をトマト褐色根腐病発生土壌に接種するとトマトの病徴は軽減する。
キーワード トマト褐色根腐病、土壌糸状菌群集構造、eDNA、DGGE(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)
背景・ねらい 国内有数のトマト産地である北海道沙流郡平取町では、台木を用いない栽培法による「桃太郎」などが主要品種として栽培されているが、近年、トマト褐色根腐病が広範囲にわたり発生し問題となっている。平取町内には、本病害が恒常的に発生しているハウスがある一方で、30年以上にわたり病害発生履歴がないハウスがある。土壌病害の発生には病原菌以外の土壌微生物も関わっていることから、これら土壌の糸状菌群集をDGGE法等のeDNA分析技術により比較し、病害発生履歴がない土壌の糸状菌群集構造を明らかにする。これにより、糸状菌群集構造に基づいたトマト褐色根腐病の発生予測や発生回避のための土壌管理手法開発のための基礎的情報を得る。
成果の内容・特徴
  1. トマト褐色根腐病発生履歴がない土壌と発生履歴がある土壌の糸状菌群集をDGGEにより比較した結果、病害発生履歴がない土壌には共通して2本のバンドが優占する(図1)。
  2. 特徴的に見出された2本バンドは、18S rRNA遺伝子の塩基配列よりChaetomium属(CH)とMortierella属(MO)に由来する(図1)。
  3. DGGEプロファイルの主成分分析より、病害発生履歴がない土壌の糸状菌群集構造は類似し、病害発生履歴がある土壌の糸状菌群集構造は農家ごとに異なる(図2)。
  4. 褐色根腐病汚染土壌とモデル植物である矮性トマト(マイクロトム)を用いたポット試験において、病害発生履歴がない土壌より分離した糸状菌(CH株、MO株)の菌糸体懸濁液接種により、発病が軽減される(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 調査対象は北海道沙流郡平取町内のトマト栽培前のハウス内土壌であり、病害発生履歴がない4農家7ハウスおよび病害発生履歴がある5農家6ハウスの土壌を解析した結果である。
  2. 糸状菌群集構造に基づいたトマト褐色根腐病の発生予測や発生回避のための土壌管理手法開発のための基礎的情報となる。
  3. 肥培管理による微生物群集の改変法を検討することにより、現地圃場における病害の低減が期待できる。
  4. 分離した糸状菌(CH株、MO株)について、生物防除微生物として応用するには、現地圃場における定着性や「桃太郎」などの通常品種を用いた場合の発病抑制について検討する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025454
カテゴリ 台木 トマト 根腐病 肥培管理 品種 分析技術 防除

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