土壌凍結地帯に適用できる融雪水の浸透量を評価するための方法

タイトル 土壌凍結地帯に適用できる融雪水の浸透量を評価するための方法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究課題名
研究期間 2001~2010
研究担当者 岩田幸良
広田知良
林 正貴
長谷川周一
鈴木伸治
発行年度 2010
要約 深さ1mの土層の観測データの熱収支と水収支の解析により、これまで自動計測が困難だった土壌凍結が発達したときの融雪水の凍土への浸透量が日単位で計算できる。土壌凍結深が0.4m程度の場合、融雪期には融雪水の2割から7割の範囲で土壌に浸透する。
キーワード 土壌凍結、水収支、熱収支、融雪水、浸透水量
背景・ねらい 土壌凍結時の融雪水の浸透量の評価は、春の残留窒素の評価や硝酸態窒素の地下水汚染、土壌侵食量の推定等を行う上で重要である。しかし、一般に普及している誘電特性を利用した土壌水分計は、凍結層中の液体の水の量しか測定しないため、凍結層の氷が融解する量が評価できず、融雪水の浸透量を自動的に計測する方法は確立されていない。そこで、誘電特性を利用した水分計と土壌凍結層の熱収支の計測データを解析し、土壌凍結層が厚いときでも融雪水の浸透量が評価できる手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 水収支法に加え、土壌凍結層の熱収支の解析により土壌中の氷の融解量を計算することで、誘電特性を利用した土壌水分計や地中熱流板等の一般的、かつ自動計測が可能な計測機器のみを用いて融雪水の土壌への浸透量を日単位で計算できる(図1)。
  2. 北海道農業研究センター芽室研究拠点の試験圃場(淡色黒ボク土圃場)で、除雪をして土壌凍結深を0.4mまで発達させた後、雪を積んで十分な融雪水量を確保した試験区(処理区;図2)では、融雪期以前のデータから水収支法で計算した氷の量(117mm)が、熱収支法で計算した凍結層が融解するまでの氷の融解量(109mm)とほぼ等しい(図省略)。同様に、自然積雪状態で土壌凍結深が0.1mの試験区(対照区;図2)における融雪期直前の氷の量(37mm)は、凍結層が融解するまでの氷の融解量(47mm)とほぼ等しい。これらのことから、本手法により求めた融解量は実態を反映していると判断される(図省略)。
  3. 図1の水収支の部分の各測定項目は一定の精度で測定可能であることが確認されているため、上記2.で凍結層の氷の融解量が精度良く計算できることが明らかになったことは、本方法により精度良く融雪水量が計算できることを意味する。
  4. 熱収支法により凍結層における氷の融解量を計算せず、水収支のみから融雪水の浸透量を評価した場合、例えば試験圃場の処理区における2006年の融雪期の測定例では、特に融雪期の後半で実際よりも多く土壌に浸透したと計算され、実際と異なる(図3)。これに対し、本手法を用いると、対照区では、融雪期の始めから終わりまで融雪水量と土壌への浸透量がほぼ同じであるのに対し、土壌凍結深が0.4m程度の処理区では、融雪期に融雪水量の2から7割の範囲で土壌に浸透すると計算される(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本手法は、土壌凍結が発達した地域における表面流出量や土壌浸食量、地下への硝酸態窒素の移動量を評価するための試験に活用できる。
  2. 本手法は、雪割りによる野良イモ防除等、積雪を処理することで土壌凍結深を発達させる圃場における水や肥料成分の移動を評価するための試験に活用できる。
  3. 北海道道東地域では積雪開始の早晩により土壌凍結深が0~0.8mの間で変動する。本試験の処理区では、積雪が遅れた状況を想定し、人工的に再現した。
  4. 図3の融雪水量は、積雪水量と降水量の観測値から計算する(岩田ら, 2010)。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025417
カテゴリ 自動計測 防除

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