水田冬期湛水の環境保全コストと持続性

タイトル 水田冬期湛水の環境保全コストと持続性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2008~2010
研究担当者 芦田敏文
遠藤和子
福与徳文
発行年度 2010
要約 水田冬期湛水の環境保全コストとしては、環境保全型稲作の除草コストが最も大きい。必要除草量に応じた除草コスト投入は収量安定要件となり、生産米の高価格販売と合わせ、水田冬期湛水の持続性に重要な要因である。
キーワード 冬期湛水田、環境保全型稲作、環境保全コスト、除草コスト、高価格販売
背景・ねらい 近年、水田冬期湛水が全国各地で取り組まれている。冬鳥の生息環境の確保等の環境保全的な目的に加え、冬期湛水に抑草等の栽培面の効果も期待しつつ、当該冬期湛水田にて環境保全型稲作(無農薬・無化学肥料栽培)を実施し、生産米の高価格販売を目指すケースも多い。そこで、水田冬期湛水と併せて環境保全型稲作が行われている宮城県大崎市S地区の事例分析から、冬期湛水・環境保全型稲作の作業体系の変化を明らかにするとともに、水田冬期湛水の環境保全コストと持続性の条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 水田冬期湛水と併せて行われる環境保全型稲作は、開始後5年間の農家の取り組みの中で、半不耕起体系から通常の耕うん実施への変更、米ぬかの散布回数の変更等、抑草への対応を主要な要因として、作業体系が変化している(表1)。
  2. 慣行稲作と比較すると、除草剤・殺虫剤散布が中止される一方、冬期湛水関係作業(簡易水路の設置・撤去、湛水管理、ポンプ清掃)、米ぬか・くず大豆の散布、除草(機械・手取り)の追加作業が発生する。慣行稲作と比較したときのコスト増加分を環境保全コストとみなすと、物財費では約2.6千円/10a減少するが、労働費では約8.1千円/10a増加し、合計約5.5千円/10aとなる。環境保全コストでは、除草に関するコストが最も大きい(表2)。
  3. 必要となる除草量は農家・年次毎に異なり、必要な除草作業量を適切に実施している農家(年次間の除草時間差が大きく、必要に応じて除草時間を適切に伸縮させていると考えられる農家)の方が収量は安定している(図1)。必要除草量に応じて除草コストを十分に投入することが収量安定要因となることが示唆される。
  4. 水田冬期湛水と併せて行われる環境保全型稲作の平均収量は慣行稲作を114kg/10a下回る408kg/10aであるが、販売価格が高いため、平均除草時間・平均収量における純収益は47.6千円と、慣行稲作純収益を大きく上回る。このことが農家の水田冬期湛水にインセンティブを与えており、その持続性には、生産米の高価格販売と、収量を安定させる除草コストの投入が重要な要因である(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 土地改良区等が水田冬期湛水を実施するにあたって有効な技術情報となる。
  2. 冬期の水利権が制約条件となるが、当地区は排水路にポンプを設置して取水している。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025360
カテゴリ コスト 除草 除草機 除草剤 水田 大豆 農薬 水管理

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