地下水位制御システムFOEASによる転作大豆の地下かんがい用水量

タイトル 地下水位制御システムFOEASによる転作大豆の地下かんがい用水量
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2009~2010
研究担当者 若杉晃介
北川 巌
原口暢朗
発行年度 2010
要約 鹿児島県内のFOEASを導入した灰色台地土の水田で転作大豆栽培を行う場合、地下かんがい実施日における用水量は、気象条件に対応して1~14mm/dayであり、無かんがいの対照ほ場に比べ、かんがいと排水の効果により大豆の増収効果は顕著である。
キーワード 地下水位制御システム、地下かんがい用水量、転作大豆、暗渠排水
背景・ねらい 地下水位制御システムFOEASは、水田の有効活用による麦・大豆など転作作物および飼料米の生産拡大と生産力の強化を実現する新技術として位置づけられている。特に大豆については、開花期や夏場の乾燥時にかんがいすることで増収効果が得られる。FOEASの更なる普及・利活用のためには、その特徴である地下かんがいを通じた作物栽培における用水需要量を明らかにする必要がある。これまでに代掻き水稲栽培時の用水量と慣行の地表かんがいと比較した節水効果について報告例があるが、新たな用水需要が見込まれる転作時の用水量について報告例は皆無である。そこで、現地ほ場を用いて、一筆水田における大豆栽培時の地下かんがい用水量等を観測・分析し、この技術の利活用による転作時の用水量に係る情報を蓄積する。
成果の内容・特徴
  1. 鹿児島県姶良市蒲生町のほ場整備済み水田において、30aのFOEAS施工ほ場と、近接するFOEAS未施工の20aの対照ほ場に大豆(フクユタカ)を作付けし、用水量及び地下水位、降水量の計測を2009年と2010年の7月中旬~10月中旬まで行う(図1)。
  2. FOEASほ場では設定水位を-40cmとし、平均地下水位は2009年は-42cm、2010年は-38cmで管理されている(図2)。また、対照ほ場は下層にレキ層があるため、常時の地下水位は-80cm以下であったが、降雨後は急激に上昇し、最長で42時間におよぶ湛水状態にもなる。
  3. FOEASほ場のかんがい日数と地下かんがい用水量は、2009年では39日と118mm、2010年では38日と182mmとなり、地下かんがい実施日における用水量は1~14mm/dayである(図3)。2009年は降雨が少なく、夏場に継続的にかんがいされており、2010年は比較的に降雨が多かったが、夏場の乾燥時や開花期にかんがいが行われている。なお、対照ほ場は2ヶ年とも表面かんがいは行わなかったため、用水量は0mmである。
  4. FOEASほ場と対照ほ場の収量比は、かんがいと排水の効果により2009年が1.9、2010年が1.7となり、地下水位制御による増収効果が得られる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 同一地区のFOEASほ場と未整備の対照ほ場における2009年の水稲栽培時の用水量は542mmと925mmで383mmの節水となる。
  2. 用水量は栽培作物や土壌、立地条件、気候、設定水位などによって変化することから、今後のデータ蓄積が必要である。
  3. 現在、FOEAS施工は全国で68地区、約2,600haで採択、今後の普及も見込まれており、ここでの調査結果は農業農村整備事業における水田かんがい用水量計画や水管理組織による用水配分の参考となる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025359
カテゴリ FOEAS 乾燥 水田 水稲 生産拡大 大豆 水管理

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