黒毛和種牛の骨格筋発達とエネルギー代謝関連因子は放牧によって変化する

タイトル 黒毛和種牛の骨格筋発達とエネルギー代謝関連因子は放牧によって変化する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 木戸恭子
後藤裕司
林 義朗
発行年度 2010
要約 黒毛和種牛の筋中では骨格筋形成抑制因子ミオスタチンmRNA発現量が放牧期間中に低下する。放牧によって脂質代謝関連因子の発現量が上昇し脂肪酸代謝によるエネルギー獲得が優勢になるが、筋肉中遊離カルニチン濃度は変化しない。
キーワード 放牧、黒毛和種、ミオスタチン、カルニチン
背景・ねらい 放牧を利用した肉用牛生産の推進に資するため、放牧によって変化する生理・生体的パラメータを明らかにする。特に、運動と関連のある骨格筋発達およびエネルギー代謝関連因子の変化、牛肉中の機能性成分である遊離カルニチンの変化を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 黒毛和種去勢牛(n=3、22ヶ月齢)を用い、夏季はケンタッキーブルーグラスおよびオーチャードグラス混播牧草地にて放牧し、冬季は舎飼にて乾草のみを給与する。放牧期間中はTDN要求量の30%に相当する配合飼料を給与する。放牧期間中に腰最長筋をバイオプシーにより採取し、放牧開始時、放牧後2、4、6ヶ月目と経時的に筋発達関連因子およびエネルギー代謝関連因子のmRNA発現量をReal time-PCR法により解析する。
  2. 放牧終了後の放牧牛は、生体重および枝肉重量が慣行肥育牛より小さいが、枝肉における赤肉の割合が慣行肥育牛と同水準である(表1)。
  3. ミオスタチンは骨格筋形成に対し負の作用を示す因子であるが、放牧開始時と比較して放牧開始4ヶ月後以降に発現量が低下する傾向が現れ、6ヶ月以降は有意に低下する(図1)。
  4. 同様に筋肉中の脂質代謝関連因子を解析すると、脂肪酸輸送担体CD36およびβ酸化関連酵素CPT-1bのmRNA発現量が放牧期間中に上昇する(図1)。放牧牛の筋肉は脂肪酸代謝によるエネルギー獲得が優勢になる。
  5. 経口摂取による脂肪燃焼効果を持つことで知られるL-カルニチンは、筋肉中ではミトコンドリアへの脂肪酸輸送担体として機能する。筋肉中遊離カルニチン濃度は放牧の経過に伴う濃度の上昇は見られなかったが、同月齢の肥育牛と比較すると放牧後の筋肉中カルニチン濃度は有意に高い(図2)。また、筋肉中遊離カルニチン濃度は比較的若い個体(12~32ヶ月齢)の場合、月齢の影響を受けない(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 放牧によって変化する他のパラメータの探索に有用な情報となる。
  2. 放牧飼養が骨格筋発達に及ぼす要因(運動負荷条件、栄養環境等)は特定されていない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025314
カテゴリ 機能性成分 さやいんげん 肉牛 輸送

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