β-CD/SPRシステムによる緑茶カテキン類の苦渋味強度の検出

タイトル β-CD/SPRシステムによる緑茶カテキン類の苦渋味強度の検出
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究課題名
研究期間 2008~2009
研究担当者 林 宣之
氏原ともみ
陳 栄剛
平岡正光
池崎秀和
発行年度 2010
要約 センサーチップ上にβ-シクロデキストリン(β-CD)を固定した表面プラズモン共鳴(SPR)装置は、ヒトが緑茶主要カテキン類に対して感じる苦渋味強度の傾向と同じように、ガレート型カテキンに対して持続性のある大きな応答を示す。
キーワード シクロデキストリン、表面プラズモン共鳴、カテキン類、苦渋味、味覚センサー
背景・ねらい 味覚センサー装置は、味を客観的に数値化できるために、様々な食品や医薬品の味評価に利用されている。緑茶の渋味とうま味もそれぞれ多段階に格付けすることが可能である。市販の味覚センサーは、脂質と高分子素材からなるセンサー膜の膜電位変化を味情報として検出する。一方、実際のヒトの味認識では、味細胞表面のタンパク質と味物質の相互作用が開始段階となっている。この分子認識メカニズムを応用し、味物質に対応するレセプター機能を有する味覚センサーシステム(レセプター型味覚センサー)を開発するならば、より高精度な味センシングが可能になると考えられる。そこで、緑茶カテキンの苦渋味をターゲットとして、レセプター型味覚センサーを開発する。
成果の内容・特徴
  1. カテキン類に対して包接現象が報告されているCD類がレセプターとして効果的である。β-CDは、緑茶浸出液中の主要カテキン類(EGCG、ECG、EGC、EC)のうち、ガレート型カテキン(EGCG、ECG)に対して大きな結合定数を持ち、総じて小さな結合定数を持つγ-CDよりもレセプターとして適している(表1)。α-CDは、これらのカテキン類を包接しない。
  2. β-CDは、6位の水酸基のひとつをアミノ基に変換した誘導体として、SPR用のセンサーチップ(カルボキシル基を有するデキストランを金薄膜上に結合させたもの)に固定できる(図1)。
  3. ガレート型カテキンに対するβ-CD/SPRシステムの応答は、非ガレート型カテキンに対するものより大きい(図2-a)。このシステムの閾値は、ガレート型および非ガレート型カテキンに対して、それぞれ0.1mM以下および約1mMである。したがって、β-CD/SPRシステムの感度は、ヒトの味覚(その閾値は、EGCG、ECG、EGC、ECに対して、それぞれ0.44、0.41、1.2、1.6mM)と同等以上である。
  4. β-CD/SPRシステムのフローセル内に各カテキン水溶液を流した後に、pH6.6の0.1Mリン酸緩衝液(ヒトの唾液に相当)を流すと、0.05mM以上のガレート型カテキン水溶液に対してのみSPR応答が観測される(図2-b)。ガレート型カテキン/β-CD複合体の高い安定性に起因するこの現象は、ガレート型カテキンに特徴的な後味に相当すると解釈される。
成果の活用面・留意点
  1. 緑茶主要カテキン類に対するβ-CD/SPRシステムの応答は、ヒトが感じるそれらの苦渋味強度と同様の傾向を示す。
  2. 本システムは、レセプター分子を他の化学構造に変えることにより、他の味物質を検出することが可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025267
カテゴリ センシング

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