ダイズ出芽期の冠水時に根で誘導されるアルコール脱水素酵素はGmADH2である

タイトル ダイズ出芽期の冠水時に根で誘導されるアルコール脱水素酵素はGmADH2である
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究課題名
研究期間 2007~2010
研究担当者 小松節子
THIBAUT Deschamps
平賀 勧
藤郷 誠
島村 聡
橋口晶子
安江 博
発行年度 2010
要約 ダイズ出芽期の冠水条件により複数のタンパク質群の発現量が変動する。嫌気代謝系酵素のアルコール脱水素酵素の1つであるGmADH2は、冠水により顕著に増加し、根端特異的な発現を示す。
キーワード ダイズ、出芽期、湿害、根端、アルコール脱水素酵素
背景・ねらい 生育初期の湿害によりダイズの生産性が低下することから、安定生産に関わる耐湿性の改良が求められている。アプローチの1つとして、低酸素条件下のダイズの地下部でのエネルギー代謝の効率化が考えられる。本研究では、出芽期の冠水条件下の根のプロテオーム解析で検出した顕著に増加するタンパク質のうち、嫌気代謝系酵素であるアルコール脱水素酵素の発現様式を解析し、湿害を抑制するための分子生物学的知見を得る。
成果の内容・特徴
  1. ダイズ品種「エンレイ」を播種後2日目から2日間の冠水処理後、胚軸を含む根からタンパク質を抽出し、二次元電気泳動で分離した結果、冠水条件下で複数のタンパク質群が増加あるいは減少する(図1)。
  2. 冠水処理で顕著に増加するタンパク質(図1)を質量分析計で解析し、ダイズゲノム塩基配列データベースを検索した。その結果は、6個存在する嫌気代謝系酵素のアルコール脱水素酵素の1つであるGmADH2がこれに含まれることを示す。
  3. GmADH2は、正常な生育条件下ではほとんど発現しないが、播種後2日目からの冠水処理により処理開始後2日目で発現量が12倍増加してその後減少する。また、同時期の窒素置換による低酸素条件下では32倍増加する(図2)。
  4. GmADH2遺伝子は、塩、低温、乾燥の浸透圧ストレスではほとんど誘導されず、冠水ストレスで無処理と比較して23倍誘導される(図3)。in situハイブリダイゼイション法により解析した結果、GmADH2遺伝子の発現誘導は冠水処理下のダイズの根の先端部分で顕著である(図4)。
  5. 以上、GmADH2はダイズ出芽期に冠水特異的かつ根端特異的に発現することを示す。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で同定されたGmADH2遺伝子のダイズでの改変により、出芽期のダイズの冠水ストレスによる生育遅延等の改善が示唆される。
  2. 本研究で検出した根端特異的GmADH2の発現量の変動は「エンレイ」で得られたもので、他の品種について再現性を求める必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025189
カテゴリ 乾燥 湿害 耐湿性 大豆 データベース 播種 品種

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