バンカー法によるアブラムシ防除の成否に及ぼす二次寄生蜂の影響

タイトル バンカー法によるアブラムシ防除の成否に及ぼす二次寄生蜂の影響
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 長坂幸吉
高橋尚之
岡林俊宏
発行年度 2010
要約 果菜類の促成栽培施設において天敵コレマンアブラバチに寄生する二次寄生蜂は8種認められ、これら二次寄生蜂の割合は冬期であってもバンカー設置期間とともに上昇する。3~4月にバンカー上でこれらの比率が高いと防除に失敗する確率が高まる。
キーワード バンカー法、コレマンアブラバチ、二次寄生蜂、促成栽培
背景・ねらい バンカー法は施設内で天敵を長期継続的に維持し、害虫侵入直後の低密度のうちに防除することをねらう方法である。促成栽培のナス、ピーマンなどのアブラムシ対策としては、ムギ類に定着させたムギクビレアブラムシなどを代替寄主として用いて、天敵コレマンアブラバチを放飼する方法が実用化されており、この方法を実施した産地においては、7割近くの施設で収穫盛期にアブラムシ対処薬剤の全面散布を避けられるようになった。しかし、残りの約3割の施設では全面散布を余儀なくされており、この原因の一つに天敵アブラバチに寄生する二次寄生蜂の影響があげられている(長坂ら、2010)。そこで、バンカー上の二次寄生蜂の種構成を明らかにするとともに、二次寄生蜂によるバンカー法の成否への影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 高知県のナス・ピーマン等の促成栽培施設内のバンカー上(ムギ類に代替寄主ムギクビレアブラムシを定着させたもの)において、天敵コレマンアブラバチに寄生する二次寄生蜂は8種認められ、そのうちAlloxysta sp. nr victrixDendrocerus laticepsSyrphophagus sp.の3種が期間中連続して発生した主要種である(図1)。
  2. バンカー上の寄生蜂全体に占める二次寄生蜂の割合は、冬期であっても設置期間とともに上昇する(図1)。
  3. バンカー法によるアブラムシ防除に失敗した施設では、成功した施設に比べて、二次寄生蜂の増加の仕方が急激である(データ省略)。
  4. 3月~4月にバンカー上で二次寄生蜂の割合が高いとアブラムシ防除に失敗する確率が有意に高まる(表1)。
  5. 作物上のアブラムシ密度が要防除に達したと生産者に判断され、実際に薬剤全面散布がなされた施設(防除失敗)においては、バンカー上での二次寄生蜂の割合は、薬剤全面散布実施の1ヶ月前には60%を越えている(図2)ことから、バンカー上での寄生蜂をモニターすることにより、バンカー法の効力の衰えを予測することが可能である。
成果の活用面・留意点
  1. わかりやすい基準として、バンカー上で二次寄生蜂が50%を越えた場合には、圃場での発生状況を注意深く観察し、必要に応じて他の防除手段を併用する。
  2. 一次寄生蜂と二次寄生蜂の見分け方はインターネット上の「バンカー法技術マニュアル」(http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/010770.html)に記載されている。
  3. この成果の内容は高知県のナス・ピーマン促成栽培産地での現象であり、場所や作型により二次寄生蜂の発生状況は異なる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025164
カテゴリ ICT 害虫 なす ピーマン 防除 薬剤

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