高温耐性に優れ、寿司米に向く水稲新品種「笑みの絆」

タイトル 高温耐性に優れ、寿司米に向く水稲新品種「笑みの絆」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2002~2010
研究担当者 三浦清之
笹原英樹
重宗明子
長岡一朗
後藤明俊
小牧有三
発行年度 2010
要約 水稲「笑みの絆」は寒冷地南部では中生に属し、高温耐性が強く、粘りが少なく硬めの良食味品種で、寿司米への利用が期待される。
キーワード イネ、高温耐性、調理用、寿司、笑みの絆
背景・ねらい 「食の外部化」の進展により,今や主食用米需要の3割弱を外食・中食産業が占める状況となっており、調理時の作業性に優れ、商品の質の向上に繋がる米の開発が期待されている。特に、寿司については、酢の入りが良く、ほぐれやすい特性が求められる。一方、近年の温暖化傾向による米の品質低下が問題になっており、これに対処するため、登熟期の高温耐性に優れた品種が求められている。そこで、高温耐性に優れ、寿司米に適する良質良食味品種の開発を目指す。
成果の内容・特徴
  1. 「笑みの絆」は、粘りに頼らない良食味品種の育成を目標として、粘りの少ない良食味品種「ハツシモ」から育成された「岐系120号」と良食味系統「収6602」の交配後代から育成された系統である。
  2. 出穂・成熟期は「コシヒカリ」よりやや遅く、育成地では“中生の晩”である(表1)。
  3. 「コシヒカリ」に比較して、稈長および穂長は短く、穂数は多く、草型は“穂数型”である。耐倒伏性は「コシヒカリ」より強い“やや強”で、収量性は、標肥区では「コシヒカリ」よりやや少収であるが、多肥区では「コシヒカリ」より多収である(表1)。
  4. いもち病真性抵抗性遺伝子はPiaおよびPiiを持つと推定され、圃場抵抗性は、葉いもちは“やや弱”、穂いもちは“弱”である。穂発芽性は “やや易”である(表1)。
  5. 登熟期の高温耐性は“強”であり、外観品質の安定性に優れる(表2)。
  6. 「笑みの絆」の寿司飯の外観、なめらかさは「ササニシキ」に優り、ほぐれ易く、粘りは「ササニシキ」より弱い。硬さは「ササニシキ」、「コシヒカリ」の古米より硬く、総合では「ササニシキ」、「ハツシモ」に優る(表3)。民間企業による業務用炊飯特性調査では、飯粒がしっかりしていて、酢飯に向くという評価である(表4)。
  7. 実需である寿司店(山口県1店、東京都2店、大阪府1店)の評価は「酢の入りも良く、粘らずにふっくらと握れ、寿司米として使いやすいお米である。」 である。
成果の活用面・留意点
  1. 寿司米への利用が期待される。
  2. 高温耐性が強いため、近年の温暖化傾向下でも安定した外観品質が期待できる。
  3. 適応地域は「コシヒカリ」等の熟期の作付が可能で、冷害の危険性の少ない東北南部、北陸および関東以西である。
  4. 耐倒伏性が“やや強”であるが、極端な多肥栽培では倒伏のおそれがあり、タンパク質含有量の増加による食味低下を招くため、適切な肥培管理を行う。
  5. いもち病圃場抵抗性が弱いので、適期防除に努める。
  6. 穂発芽性が“やや易”であるため、適期刈り取りに努める。
  7. 障害型耐冷性が弱いため、冷害の危険のある地域での栽培は避ける。
  8. 縞葉枯病には“罹病性”であるため、常発地での栽培には注意する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025136
カテゴリ いもち病 高温耐性 縞葉枯病 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 凍害 肥培管理 品種 防除 良食味

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