湖沼と水田を結ぶ水系ネットワークの保全は、外来魚による食害を防ぎ在来魚を増殖するうえで重要である

タイトル 湖沼と水田を結ぶ水系ネットワークの保全は、外来魚による食害を防ぎ在来魚を増殖するうえで重要である
担当機関 長野県水産試験場
研究課題名
研究期間 2006~2008
研究担当者 川之辺素一
発行年度 2009
要約 諏訪湖流入河川で外来魚と在来魚(フナ類)の生息域の重複について調査した。ブルーギルは河川に周年生息するが、オオクチバスは湖と河川の間で季節移動している。水田水路には外来魚は分布せずフナ類の繁殖場として機能する。7月の水田の水抜きによってふ化したフナ類当歳魚は河川に移動するが、この時期にはバスは湖へ移動している。水田水路まで溯上できる環境がフナ類の資源維持に重要である。
背景・ねらい 湖に生息する多くの在来淡水魚は、生活史の中で、湖-流入河川-水路-水田といった連続的な環境を利用している。オオクチバスやブルーギルなどの侵入状況によっては、外来魚による捕食が在来魚の生存にとって重大な影響を与えている可能性がある。
諏訪湖および流入河川での外来魚及びフナ類の生息域を調査し、生息空間の重複について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 湖岸及び河川(図1)において、釣りと投網を用い外来魚の生息域及び胃内容物を調べた。
  2. オオクチバスは繁殖期の5~6月には湖岸に多く出現するが、10月~5月に流入河川に出現する(図2)。ブルーギルでは生息域の季節的な変化は確認されなかった。これら外来魚は水田や水路では年間を通して確認されなかった。
  3. 諏訪湖のフナ類は4~6月に流入河川へ溯上し、河川内やその先の水田や水路で産卵する。フナ類の産卵期に河川で捕獲した外来魚の胃内容物調査から、オオクチバスはフナ類の親魚を、ブルーギルは卵を捕食していることがわかった。
  4. 水田で育ったフナ類の稚魚は、土用干し(6月下旬~7月上旬に、一旦、水田の水を抜く操作)によって水路や河川に流下するが、この時期には河川におけるオオクチバス生息密度は減少傾向を示している。この時期のブルーギルはユスリカ等の昆虫類を多く捕食しており、フナ類稚魚は捕食されていない。
  5. 水田や水路はフナ類にとって重要な繁殖場であるが、親魚や卵が外来魚の捕食から守られる重要な生息空間でもある。土用干し(水田の一斉水抜き)という人為的操作によってフナ類稚魚が河川へ移動する時期は、外来魚が河川から湖へ移動した後であることから生息域の重複が避けられ、外来魚による捕食が低減されている。
成果の活用面・留意点
  1. 湖沼と水田を結ぶ水系ネットワークが分断された場合
    • フナ類親魚は重要な産卵場である水田・水路へ溯上できず、河川でオオクチバスに捕食される。
    • 河川で産卵せざるを得ないため、ブルーギルによる卵の捕食リスクが大きくなる。
  2. フナ類の増殖には、水田・水路まで溯上可能な水系ネットワークの保全が重要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010025105
カテゴリ 水田 繁殖性改善

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