異業種連携による遺伝子組換え高機能絹糸の製品化

タイトル 異業種連携による遺伝子組換え高機能絹糸の製品化
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究課題名
研究期間 2008~2009
研究担当者 町井博明
飯塚哲也
瀬筒秀樹
米村真之
立松謙一郎
内野恵郎
小林功
髙林千幸
間瀬啓介
岡田英二
中島健一
田村俊樹
発行年度 2009
要約 マニュアル化した遺伝子組換えカイコの大量飼育法により生産した、緑色蛍光絹糸および赤色蛍光絹糸を活用して、撚糸会社、織物会社、有名デザイナーおよび人形メーカーによる異業種連携により、ウエディングドレス、お色直し用ドレス、内裏雛(雛人形)など高付加価値製品を作製した。
キーワード 遺伝子組換えカイコ、蛍光絹糸、ウエディングドレス、内裏雛
背景・ねらい 我が国の養蚕業を活性化し、カイコを用いた新産業の創出を図るためには、中国、ブラジルなどで生産される低価格の絹糸と差別化し、海外ではまねのできない付加価値の高い絹糸を作る技術の開発が重要である。これまでに、農業生物資源研究所が中心となって遺伝子組換えカイコを用いた高機能絹糸の作出法を開発し、さらに組換え繭からの繰糸方法を新たに開発して、蛍光絹糸を用いたニット製品等の試作に成功した。しかし、組換え体の大量飼育方法のマニュアル化や経糸(たていと)に蛍光絹糸を用いた製織法の適否、異業種連携による最終製品化までのプロセス作り等が実用化への課題として残されていた。
本研究では、組換え絹糸の実用化を加速するため、遺伝子組換えカイコの大量飼育を行ってマニュアル化を進めるとともに、異業種連携によって蛍光絹糸を経糸に用いた生地を作り、高付加価値製品を作製した。
成果の内容・特徴
  1. 高機能絹糸系統の品種改良と大規模飼育のマニュアル化
    交雑育種により、昨年度までに開発された蛍光絹糸系統および極細絹糸系統の改良を進め、繭重、繭層重、繭層歩合等の形質を従来の実用品種と同程度に高めた。緑色蛍光絹糸系統は4万頭、赤色蛍光絹糸系統は3万頭、極細絹糸系統は14万頭というこれまでにない大規模での飼育を行い、それぞれ8.1kg、7.5kgおよび24.8kgの生糸を生産した。そして、カルタヘナ法に対応した遺伝子組換えカイコの飼育データを取るとともに、飼育のマニュアル化を行った。
  2. 異業種連携による蛍光絹糸を用いた高付加価値製品の作製
    商品化に近い形での高付加価値製品の試作として、1.で生産した蛍光絹糸を用いて(株)ユミカツラインターナショナル、(株)齋栄織物、(株)東北撚糸など異業種連携による共同製作を進め、ウエディングドレス(図1)およびお色直し用ドレス(図2)を作製した。ウエディングドレスには、緑色蛍光絹糸で織った張りとボリュームのある生地の“ミカド”を使用した。お色直し用ドレスの生地には、赤色蛍光絹糸で織った薄手で透き通った生地の“オーガンジー”と経糸(たていと)に緑色蛍光絹糸を、緯糸(よこいと)に赤色蛍光絹糸を用いて織ったなめらかで光沢のある “サテン”を使用した。サテンは、混織効果により黄緑色の蛍光色を発する布地となった。また、(株)吉浜人形および(有)石川との共同製作によって、紋様に蛍光絹糸を用いた内裏雛(雛人形)を作製した(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 蛍光絹糸等の高機能絹糸は繊維業界、アパレル業界、ファッション業界等において高付加価値シルク製品の素材として有望視されている。このため、農家等でのカルタヘナ法に従った組換えカイコの大量飼育システムの早期確立が緊急の課題である。
カテゴリ 育種 カイコ 高付加価値 品種 品種改良

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