イネいもち病ほ場抵抗性遺伝子pi21の単離同定

タイトル イネいもち病ほ場抵抗性遺伝子pi21の単離同定
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究課題名
研究期間 2000~2009
研究担当者 福岡修一
坂 紀邦
古賀博則
小野和子
清水武彦
江花薫子
林 長生
高橋 章
廣近洋彦
奥野員敏
矢野昌裕
発行年度 2009
要約 いもち病ほ場抵抗性遺伝子pi21を単離し、既知の抵抗性遺伝子とは異なる構造と機能を持つこと、この遺伝子は我が国の陸稲など、ごく一部のイネのみが持つことを明らかにした。また、pi21は食味の低下に関係する遺伝子のごく近い位置にあることを明らかにし、DNAマーカー選抜によるpi21をもつ極良食味の新品種「ともほなみ(中部125号)」の育成に貢献した。
キーワード 日本陸稲、いもち病抵抗性、ほ場抵抗性、DNAマーカー選抜
背景・ねらい イネに大被害を与えるいもち病に対し、陸稲はいもち病ほ場抵抗性の有用な遺伝子供給源として注目されてきた。これまでに陸稲から作出された系統は、収量性や食味の低さによって、実用的ないもち病抵抗性品種にならなかった。本研究では、陸稲の主要なほ場抵抗性遺伝子pi21の特性を調べるとともに、その構造と機能を明らかにする。また、遺伝子の位置情報を利用して、pi21遺伝子と食味を低下させる遺伝子との連鎖関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. pi21遺伝子による抵抗性はいもち病菌に対するレースの系統特異性が認められず、pi21遺伝子を持つイネはいもち病に感染するが病斑面積は小さい(図1)。
  2. pi21遺伝子(遺伝子番号Os04g0401000)は、既知の抵抗性遺伝子とは全く異なる構造をもち、金属結合部位とプロリンに富むタンパク質を生産する(図2)。
  3. pi21遺伝子は、水稲の対立遺伝子(pi21)が生産するタンパク質に機能があり、抵抗性反応を抑制する。陸稲の対立遺伝子(pi21)では、プロリンに富む配列の一部の欠失による機能の低下によって抵抗性反応の抑制が少なく、いもち病抵抗性が高まる。
  4. アジア栽培イネには、pi21遺伝子のDNA変異型が11種類認められるが、いもち病抵抗性を付与するのは1種類だけであった。そのDNA変異型(pi21型)は、我が国の陸稲など、ごく一部のイネにのみ存在した。
  5. pi21遺伝子をその下流2~37kbの染色体領域に存在する食味を低下させる遺伝子との連鎖から切り離すDNAマーカーを作成した。これらのマーカーを目印として、食味を損なう遺伝子を伴わずにほ場抵抗性を導入することができ、pi21遺伝子をもつ系統を選びだし、極良食味の品種「ともほなみ(中部125号)」が育成された(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で得られた情報から、DNAマーカーによってpi21遺伝子を直接選抜できるようになった。また、pi21遺伝子近傍のマーカーは不良形質の除去に役立ち、良食味でいもち病に強い品種の育成に利用できる。
  2. 陸稲のpi21遺伝子は、罹病性対立遺伝子を持ついもち病に弱い世界中の多くのイネ品種のいもち病抵抗性の改良に役立つ。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010024722
カテゴリ いもち病 新品種 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 DNAマーカー 品種 陸稲 良食味

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