自脱コンバインにおける手こぎ作業時の緊急停止装置の性能向上技術

タイトル 自脱コンバインにおける手こぎ作業時の緊急停止装置の性能向上技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
研究課題名
研究期間 2008~2009
研究担当者 岡田俊輔
菊池 豊
冨田宗樹
積 栄
志藤博克
川瀬芳順
発行年度 2009
要約 自脱コンバインの非常停止ボタン操作時にエンジンを停止するのみであった緊急停止装置の性能向上のため、開発したフィードチェーンを迅速に停止、または開放する機構を加えることで、手こぎ作業時の巻き込まれによる重傷化の軽減が期待できる。
キーワード 自脱コンバイン、手こぎ、巻き込まれ事故、緊急停止
背景・ねらい 最近の自脱コンバインには、手こぎ作業時の巻き込まれ事故防止のため非常停止ボタン(以下、ボタン)が装備されているが、未だ負傷事故が報告されている。市販機では、ボタンを押してからフィードチェーンが止まるまでの移動時間は1.4~3.7s、距離は25cm~144cmであり(22型式、合計24台調査)、全ての型式で巻き込まれた手指がこぎ胴等に到達すると予想され、事故の重大化を招く一因と考えられる。従って、より短時間でフィードチェーンを停止する技術、および巻き込まれた手指を迅速に開放する技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 各機構の対策部位を図1に示す。フィードチェーンを迅速に停止するための機構(図2)は、図2aに示す駆動スプロケットでフィードチェーンを駆動する構造に利用できる中駆動遮断式と、駆動スプロケットの位置に制限されない、Vベルト駆動遮断式(図2b)の2方式である。また、迅速に開放する機構は、こぎ胴カバーを開くことで巻き込まれを開放するカバー開式(図3)である。
  2. 中駆動遮断式の機構は、ボタン操作によってロックが外れ、ばね支持アームとローラ支持アームが下方へ回動し、引き離し爪が取り付けてあるローラが下降することで、かみ合いが強いフィードチェーンと駆動スプロケットを確実に引き離す(図2a)。
  3. Vベルト駆動遮断式の機構は、ボタン操作によってロックが外れ、ばね支持アームとローラ支持アームが下方へ回動することでローラが下降し、Vベルトの弾性によってVベルトと駆動プーリを引き離す。これと同時にブレーキ連結ロッドが、ブレーキアームを回動して、プーリを制動する(図2b)。
  4. カバー開式の機構は、ボタンを押すとロックが外れ、レバー押し上げアームが下方へ回動する。レバー押し上げアームとレバーを固定しているロッドは結合しており、レバー押し上げアームと共にロッドが回転し、ロッドに取り付けた爪によってレバーを押し上げ、レバーの固定を解除する。これによりガススプリングが伸長してこぎ胴カバーを押し上げ、挟やく部を開放する(図3)。
  5. 上記機構を市販機に組み込んだところ、停止または開放までの時間・距離は、0.2~0.3s(8~9割減)、5~9cm(6~8割減)となり、巻き込まれ(かみこみ点)と同時にボタンを操作したと仮定すると、こぎ胴に到達する前に停止、または開放可能である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 手こぎ作業時に発生する巻き込まれ事故の軽減に寄与する製品開発の参考となる。
  2. カバー開式は、単独で使用することも可能であるが、フィードチェーン停止装置と併用することで、より安全性を向上させることができる。
  3. 大きな構造変更を伴わずに簡易に組み込み可能な機構であり、各自脱コンバインの駆動伝達経路の違い等に合わせて機構を選択することができるが、一部の型式には、適用性について検討が必要なものもある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010024719
カテゴリ ぼたん

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