ALOS/PALSARデータを用いた農地の被災状況把握

タイトル ALOS/PALSARデータを用いた農地の被災状況把握
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2007~2009
研究担当者 小川茂男
吉迫 宏
島 武男
発行年度 2009
要約 天候に左右されずに観測できるALOS/PALSARデータを複数重ね合わせ処理を行うことにより農地の被災状況把握が可能である。また、光学センサーデータを含めて、過去の同時期に観測された衛星データを併用することが被災状況の把握に重要である。
キーワード 合成開口レーダ、洪水、非湛水状態、パウリ画像
背景・ねらい 農地災害は広域に発生することが多く、その把握には衛星データの活用が有効であるが、光学センサでは地表が雲に覆われて地表を観測できないことが多い。雲を通して地表を観測することのできる合成開口レーダ(SAR)であるALOS/PALSARデータは即時観測も可能であり、また、全偏波観測が可能であることから、PALSARデータを用いた農地の被災把握推定の可能性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 地表物や土壌表面の凹凸で散乱したマイクロ波は衛星に戻り画像上は明るくなるが、水面は鏡面反射し衛星に戻らないため暗くなる。2008年5月にミャンマーを襲ったサイクロンの被害直後の画像をみると(図1)、冠水した農地は広い水面となり画像上で暗くなる。洪水で建物や樹林等が水面上に出ている場合は、水面で鏡面反射したマイクロ波が建物や樹木にあたり衛星方向に戻ってくる2回散乱となり明るくなる。このことから、広範囲にわたり冠水していることが把握できる。
  2. 過去に観測された衛星データから当該地区の土地利用状況や農作業状況(被災時期が収穫前後であるか、田植え時期であるか等)を把握することが被害直後のデータを解析する上で重要である。図2の対象地域で見ると((b)、(d))、1月初旬に田植え、4月に収穫されているため、5月初旬の湛水域は刈り取り後であり、2008年5月のサイクロン襲来時にこの地域の水稲への洪水被害は小さいことが推察できる。
  3. ALOS/PALSARは、水平偏波(H)を送信しHを受信するだけでなく、垂直偏波(V)を受信することができ、また、Vを送信しVとHで受信することができる。このHH(送信~受信)・VH・VV・HVの全偏波観測データから変換してパウリ画像を作成すると1回散乱・体積散乱・2回散乱成分を把握でき、収穫後の水田では1回散乱が卓越し(d)、稲の生育がすすみ湛水状態では2回散乱が卓越する(b)、などの状況がわかる。全偏波観測データは被害状況の把握に有効である。
  4. 中越地震後の聞き取りによると、地震直後に田面の亀裂や水路等の破損が生じて給水が一部で中断した。地震前後のALOS/PALSARデータをカラー合成した画像(図3)をみると、非湛水になった水田は田面からの散乱が強く、その後灌漑施設が回復して湛水したことによる水面からの散乱が低下した結果、赤く表示されたと推察された。
成果の活用面・留意点
  1. この手法は衛星画像に地図座標系を付加しデータを利用することで、リモートセンシング表示ソフトウエアまたはGISソフトウェアで利用できる。
  2. 衛星からの観測方向と水田に植えられた稲の列が直交すると、ブラッグ散乱という共鳴現象により、非常に明るくなる現象があることに注意する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010024543
カテゴリ カラー 水田 水稲 リモートセンシング

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