Salmonella Typhimurium DT104は百日咳毒素様のADP-リボシル化酵素を産生する

タイトル Salmonella Typhimurium DT104は百日咳毒素様のADP-リボシル化酵素を産生する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2008~2009
研究担当者 内田郁夫
石原涼子
田中聖
秦英司
牧野壮一
菅野徹
畠間真一
木嶋眞人
秋庭正人
渡部淳
窪田宜之
発行年度 2009
要約 Salmonella Typhimurium ファージ型DT104が産生する蛋白質ArtAは細胞内の情報伝達分子である百日咳毒素感受性のGTP結合蛋白質をADP-リボシル化することから、病原因子としての可能性が注目される。
キーワード 牛、サルモネラ、病原因子、百日咳毒素、ADP-リボシル化
背景・ねらい 人の食中毒や家畜のサルモネラ症の原因菌として注目される多剤耐性Salmonella Typhimurium (ST)ファージ型104(DT104)は、1990年頃から国内の牛群に侵入したが、同時期に下痢を主徴とする成牛のサルモネラ症も顕在化している。
われわれはDT104の新たな病原因子獲得を疑い、その検索を行い、DT104の溶原ファージが百日咳毒素(ADP-リボシル化酵素)遺伝子と相同性を示す遺伝子artA及びartB(artA/artB)を保有することを見出している。本研究では、これらの遺伝子がコードする蛋白質ArtA及びArtBが実際に百日咳毒素と同様のADP-リボシル化酵素活性を示すことを証明する。
成果の内容・特徴
  1. 百日咳毒素は毒素活性を担うAサブユニットと、これを細胞内に輸送するBサブユニットの複合体である。これらA及びBサブユニットと相同性を示すArtA及びArtBは、過酸化水素を培地に添加することによりDT104の培養上清中に誘導的に発現させることができる(図1)。
  2. 百日咳毒素活性はcAMP合成酵素アデニル酸シクラーゼ(AC)の活性を調節するGTP結合蛋白質(G蛋白質)のうちAC抑制性G蛋白質をADP-リボシル化することにより、その活性化を妨げることで発現される。DT104培養上清中のArtA/ArtB複合体及び試験管内で合成したArtAは、百日咳毒素に感受性のG蛋白質をADP-リボシル化する活性を示し、この活性は易熱性で、活性発現にジチオトレイトール(DTT)を必要とし、百日咳毒素の性状と一致する(図2)。
  3. DT104の培養上清中のArtA/ArtB複合体は百日咳毒素と同様にCHO細胞の集塊形成活性を示す(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. ArtAは百日咳毒素と同様にAC抑制性G蛋白質をADP-リボシル化する酵素であることが明らかとなったことから、ArtA/ArtB複合体が、下痢を主徴とする牛サルモネラ症の病原因子として機能している可能性が考えられる。今後、これらの意義を解明する必要がある。
  2. DT104の分離数は現在減少傾向にあるが、DT104以外のSTにも低率ながらartA/artB保有株が見られるため、これらの菌によるサルモネラ症の流行を監視する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010024486
カテゴリ 輸送

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