潜在性乳房炎罹患牛への組換えウシサイトカイン乳房内投与の治療効果

タイトル 潜在性乳房炎罹患牛への組換えウシサイトカイン乳房内投与の治療効果
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究課題名
研究期間 2007~2009
研究担当者 菊 佳男
尾澤知美
犬丸茂樹
大橋 傳
林 智人
高橋秀之
保田立二
櫛引史郎
新宮博行
守谷直子
須藤まどか
発行年度 2009
要約 黄色ブドウ球菌性乳房炎の罹患乳房内に、ウシGM-CSFおよびIL-8の単独または併用投与を行う場合、細胞性免疫の亢進がみられるウシGM-CSF単独投与が炎症症状の改善効果は高い。
キーワード 潜在性乳房炎、サイトカイン治療、免疫機能、GM-CSF、IL-8
背景・ねらい 酪農経営を脅かす最大の疾病である乳房炎の治療には、主に抗生物質が使用されているが、薬剤耐性菌出現の危険性から、これに替わる次世代の治療薬の開発が広く求められている。これまでに臨床症状は示さないが、体細胞数の高い潜在性乳房炎罹患牛の乳房内に、サイトカインを投与することにより、体細胞数を低減させることを確認してきたが、その治癒メカニズムについては不明な点が多い。本研究では、難治性の黄色ブドウ球菌(SA)性の潜在性乳房炎罹患牛に対し、組換えウシ顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(rbGM-CSF)およびインターロイキン8(rbIL-8)を、罹患乳房内に単独もしくは併用投与する際の、乳房内免疫細胞の動態と治療効果の関連性について評価する。
成果の内容・特徴
  1. 乳房炎の簡易診断基準であるCalifornia Mastitis Test(CMT)変法で陰性を示さない、SA由来潜在性乳房炎に罹患しているホルスタイン牛21頭の罹患乳房を、1頭当たり1分房供試する。対照期間(リポソーム包埋サイトカイン不含対照液を投与)7日間の観察の後、リポソーム包埋サイトカインrbGM-CSF(n=6;400μg/5mL)およびrbIL-8(n=9;1mg/5mL)の単独または併用(n=6)を投与(併用時には6時間の投与間隔をおく)し、投与後14日間の経過観察の結果、いずれのサイトカイン投与もCMT変法のスコアを低減させる(図1)。投与前のCMTスコアを1として投与後のスコアを比較する場合、その効果はrbGM-CSF単独投与が高いと考えられる(表1)。
  2. 乳汁中の単核球集団の解析により、rbGM-CSF投与後1~2日でCD14+細胞率が上昇し、その後CD4+細胞率が上昇する(図2a、b)。
成果の活用面・留意点
  1. rbGM-CSF乳房内投与は、SA由来潜在性乳房炎の治療薬として実用化が期待できる。
  2. 乳房炎罹患牛に対するサイトカイン治療はその効果に個体差がある。治療の費用対効果を高めるためには、治療前に治療効果の高い牛を選別する技術の開発が必要である。
  3. 乳房内に投与されたサイトカインの乳汁中残留について検証する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010024477
カテゴリ 簡易診断 経営管理 耐性菌 乳牛 薬剤

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