牛ふんに含まれる高度好熱嫌気性細菌群が連続水素発酵で示す高い水素収率

タイトル 牛ふんに含まれる高度好熱嫌気性細菌群が連続水素発酵で示す高い水素収率
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2007~2009
研究担当者 横山 浩
田中康男
和木美代子
荻野暁史
山下恭広
守谷直子
大森英之
発行年度 2009
要約 牛ふんから嫌気的に75℃での集積培養で得られる高度好熱嫌気性細菌群は、連続水素発酵において中温菌や中度好熱細菌と比較して高い水素収率(グルコース1モルあたり3.32モルの水素)で水素を発生させる。
キーワード 嫌気性細菌、好熱細菌、水素発酵、家畜ふん
背景・ねらい 中温菌や至適増殖温度を45-60℃に持つ中度好熱嫌気性細菌による水素発酵は、様々な研究例が報告されている。しかし、至適増殖温度が65℃以上に持つ高度好熱細菌の発酵特性は殆ど研究されていない。我々は、牛ふんに高度好熱細菌が存在している知見を既に得ている。そこで、その細菌の集積培養を試みて、得られた細菌群を人工培地での連続培養系で詳細に検討する。これにより、牛ふんに含まれている高度好熱細菌群の代謝特性を解明する。
成果の内容・特徴
  1. 高度好熱細菌を75℃での嫌気的な連続バッチ培養で集積培養した。種汚泥は、畜産草地研究所で飼育されている乳牛ふんを使用した。連続バッチ培養での細菌群の菌叢構造の変移をDenaturing Gradient Gel Electrophoresis(DGGE)法で解析した。5回目以降のバッチ培養では3本のバンドに集積される(図1)。
  2. 集積された3本のバンドのDNA配列を決定して、その近縁種を決定した。3本のバンドの配列は、互いに非常に類似しており、全てCaldanaerobacter subterraneusに99-100%の相同性を示す(表1)。このことから、集積された高度好熱細菌群はC subterraneusの亜種群から構成されると考えられる。
  3. グルコース(5g/L)を基質とした人工培地を用いて細菌群を完全混合槽型バイオリアクター(培地2L,気相1L)(図2)で嫌気的に75℃で連続培養した。培地の滞留時間(0.67,1, 2, 3日)を変化させて、発生した水素やVFA, 菌体の量を測定した。
  4. 全ての滞留時間で主要な可溶性代謝産物は酢酸である(表2)。VSS(=菌体(菌体以外の固形分がないため))あたりの水素発生量は1.96-4.15 L-H2/g-VSS/dである。これは、中温菌や中度好熱細菌の一般的な値である0.4-5.0 L-H2/g-VSS/dと比較して同程度である。しかし、リアクター体積当りの水素発生量は0.72-1.22 L-H2/L/dであり、一般的な値の3.0-20 L-H2/L/dと比較して低い。これは、集積された高度好熱細菌群の菌体密度(0.3-0.4 g-VSS/L)が一般的な値(>1.0g-VSS/L)より低いことに起因している。
  5. HRT 3dで最大水素収率、3.32mol-H2/mol-glucoseが得られる。これは、中温菌や中度好熱細菌の一般的な値である0.8-2.5mol-H2/mol-glucoseと比較して非常に高い。集積された高度好熱細菌群はグルコースから菌体への変化率が低いために、結果としてグルコースから代謝産物への変換率が高まり、高い収率を示すと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 好熱菌の代謝生理の解明や高度好熱嫌気性細菌を利用した水素などの新規発酵的物質生産法の開発に向けた基礎資料となる。
  2. 牛ふんから集積された高度好熱細菌群の菌体密度が低い原因は不明であり、今後の検討が必要である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010024422
カテゴリ 乳牛

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