ライグラスいもち病の発病温度特性と薬剤種子粉衣による防除

タイトル ライグラスいもち病の発病温度特性と薬剤種子粉衣による防除
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究課題名
研究期間 2008~2009
研究担当者 月星隆雄
岡部郁子
菅原幸哉
発行年度 2009
要約 ライグラスいもち病は温暖な気候で発生が増加し、気温25~31℃で病斑拡大速度および胞子形成数が最大となり、発生北限は9月の日平均気温22℃境界線とほぼ一致する。オリサストロビン剤などの種子粉衣により、本病の幼植物での発病を抑制できる。
キーワード ライグラス、いもち病、病斑拡大、胞子形成、薬剤種子粉衣
背景・ねらい ライグラスいもち病は、イタリアンおよびペレニアルライグラスの主要病害で、暖地で播種直後の幼植物の立枯れなど激しい病徴を引き起こして,生産阻害要因となる。しかし、本病の発病温度特性および発生分布についての詳細な研究はない。防除法については、遅播きによる発病低減および抵抗性品種「さちあおば」が報告されているが、播種直後の立枯れを防ぐため、薬剤種子粉衣による防除法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 図1に示す方法により、ライグラスいもち病の発病温度特性を調査した結果、病斑拡大速度は31℃で、胞子形成数は25および28℃で最大となったことから、本病は中高温域で発生が増加すると推定される。19および22℃の中低温域および34℃の高温域では病斑拡大は抑制される(表1)。
  2. 2008~09年に新潟県三条市、長野県塩尻市、群馬県伊勢崎市、福島県白河市および南相馬市で本病の発生が新たに確認され、これらの地域が現在の分布北限と推定される。この北限は9月の日平均気温22℃境界線とほぼ一致し、地球温暖化により60年後3℃の気温上昇があれば(IPCC A2シナリオ)、本病の発生域はほぼ本州全土に達すると予測される(図2)。
  3. いもち病に対する防除効果があるプロベナゾール、ベノミルおよびオリサストロビンの3殺菌剤を乳鉢で微細に粉末化し、5gの種子に薬剤+タルク2.5g(有効殺菌剤成分を対種子重量2%に調整)およびグリセリン1.5mlの混合物を塗抹することにより、イタリアンライグラスの薬剤粉衣種子を作成できる。いずれの薬剤も種子発芽阻害などの薬害は認められない。
  4. イタリアンライグラスの薬剤粉衣種子を圃場で栽培すると、無処理区に比べて、播種後約1ヶ月の幼植物での発病が抑制される(図3)。特にオリサストロビン剤は本病に卓効を示し、9月上旬播種の早播条件下および罹病性品種(ミナミアオバ)でも10月中旬の発病を大幅に抑制したことから、本剤は種子粉衣薬剤として有望である。プロベナゾール剤は罹病性品種で発病抑制目標値を超え、効果がやや低かった。
成果の活用面・留意点
  1. 牧草・飼料作物の殺菌剤利用は他病害を対象とした種子粉衣ですでに適用事例がある。
  2. 本試験で使用した殺菌剤はいずれも平成22年1月現在、農薬取締法に基づく登録が牧草用ライグラス類に対してなされていないので、試験研究目的以外には使用できない。種子粉衣で効果の高かったオリサストロビンおよびベノミルに対しては耐性菌が出現する可能性がある。
  3. 本病の発生北限を気温との関連で推定することにより、地球温暖化に伴う発病地域の変動を予測できる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010024401
カテゴリ イタリアンライグラス いもち病 飼料作物 耐性菌 抵抗性品種 農薬 播種 品種 防除 薬剤

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