「べこあおば」は関東地域で飼料用米・稲発酵粗飼料兼用品種として利用できる

タイトル 「べこあおば」は関東地域で飼料用米・稲発酵粗飼料兼用品種として利用できる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究課題名
研究期間 2002~2009
研究担当者 石川哲也
発行年度 2009
要約 茨城県南部で「べこあおば」を多肥条件で栽培すると、5月中旬移植で粗玄米重が800kg/10a以上となり、飼料用米として利用できる。6月上旬播種の湛水直播栽培では、黄熟期の地際刈り乾物重が1500kg/10a以上となり、稲発酵粗飼料として利用できる。
キーワード 稲発酵粗飼料、黄熟期、乾物重、飼料用米、粗玄米重、短稈、早生
背景・ねらい 水田をフル活用した飼料生産による自給率向上が求められており、地域条件に適合した多様な飼料用イネの作型を開発する必要がある。そこで、関東地域の早場米単作地帯における飼料用米生産と、北関東米麦二毛作地帯における稲・麦発酵粗飼料(WCS)周年生産を想定して、寒冷地向けに育成された稲WCS用品種「べこあおば」を早生品種として茨城県南部で栽培し、生育特性や収量性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 「べこあおば」を5月中旬に移植すると、7月末に出穂し、9月中旬に成熟期に達して飼料用米として収穫できる。当地域の主要作型である早期栽培「コシヒカリ」との出穂期の差が小さいため、雀害の危険性は低く、用水利用体系にも適合する。稈長は短く、成熟期でもほとんど倒伏は生じない(表1)。
  2. 「べこあおば」の玄米千粒重は30g以上ときわめて大きく、飼料用米としての識別性が高い。5月中旬の移植栽培において、窒素施肥量15.2kg/10aの多肥条件では、「タカナリ」には及ばないが、800kg/10a以上の粗玄米重が得られる(表1)。この作期で、8月末の黄熟期に稲WCSとして収穫すると、地際刈り乾物重は1374~1582kg/10aで、中生品種である「モミロマン」の78~97%にとどまる。
  3. 「べこあおば」を湛水直播栽培で5月下旬~6月上旬に播種すると、8月中旬~下旬に出穂し、9月中旬~下旬に黄熟期に達して稲WCSとして収穫できる。大麦を11月上旬までに播種し、5月中旬に大麦WCSとして収穫する周年粗飼料生産に利用できる。播種時期が6月下旬になると、黄熟期は10月上旬まで遅れる(表2)。播種後14日間の平均気温が20℃以上となる条件では、苗立ち率が70%を上回る(図1)。稈長は移植栽培と同様に短く、湛水直播栽培でも倒伏は軽微である(表2)。
  4. 5月下旬以降に播種する湛水直播栽培において、稲WCSとしての「べこあおば」の黄熟期地際刈り乾物重は、穂数が多いほど、また稈長が長いほど大きい。穂数が290本/㎡以上となる条件で、乾物重は1200kg/10a以上となる(図2)。窒素施肥量10kg/10a以上の多肥条件では、乾物重は「ホシアオバ」と同程度で、1500kg/10aを上回る。地際刈り乾物に占める穂の比率は50%前後となり、穂重型の生育を示す(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 中央農研谷和原水田圃場(細粒灰色低地土)において、5月中旬の稚苗移植または5月下旬~6月下旬の湛水直播条件で、窒素施肥量(被覆尿素肥料を含む)8.3~15.2kg/10aで栽培した結果であり、気象・土壌条件の類似した地域で活用できる。
  2. 「べこあおば」は大粒であるため、育苗箱当たりの乾籾播種量を180gとしている。また、湛水直播栽培では、乾籾対比2倍量の過酸化カルシウム粉剤を粉衣して条播し、出芽まで落水条件で管理している。
  3. 「べこあおば」は縞葉枯病に罹病性であるため、多発地帯での栽培には適さない。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010024263
カテゴリ 育苗 縞葉枯病 飼料用米 飼料用作物 直播栽培 水田 施肥 二毛作 播種 品種

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