樹種複合地域における農協果樹部会役員の省力共通防除技術に対する意識

タイトル 樹種複合地域における農協果樹部会役員の省力共通防除技術に対する意識
担当機関 福島農総セ
研究課題名
研究期間 2007~2008
研究担当者 引地力男
宮島聡
藤澤弥榮
永山宏一 
発行年度 2008
要約 農協果樹部会役員には、果樹薬剤散布のドリフト対策として隣接作物にも登録のある薬剤を使用する技術が評価され、体系として重要視されるのはまず「現在より高くならない薬剤費」、次に「現在より少ない薬剤防除回数」であり、普及手段はJA果樹病害虫防除暦が効果的である。
背景・ねらい 果樹の薬剤散布ではスピードスプレーヤ(以下「SS」という。)が使用されるため、リンゴ及びモモなどの樹種複合地域においては、農薬散布時のドリフト防止が重要な課題となっている。
そこで、樹種相互に使用可能で各種病害に有効な省力共通防除技術の開発方向の参考とするため、リンゴ・モモ樹種複合地域における果樹指導者の省力共通防除技術に対する意向を調査・解析する。
成果の内容・特徴
  1. 「リンゴとモモの病害虫を共通防除する体系」において、コンジョイント分析による重要度は、最も重要視される因子が「10a当たりの薬剤費(スコア41.32)」、次いで「1年間の薬剤防除回数(同34.75)」であり、薬剤費及び防除回数が重要視されるが、それらを左右する散布時期を把握する因子(予察防除か定期防除か)は最も重要度が低い(図1)。
  2. 同分析による部分効用では、「10a当たりの薬剤費」は、「2割高」より「現状程度」が高く評価されている。「1年間の薬剤防除回数」は、「現状程度」より「2割減」が高く評価されている。「予察防除か定期防除か」はあまり差がなく、どちらでもいいような主体性のなさが感じられる(図2)。
  3. ドリフト防止技術の評価は、「手散布」の平均値が4.7(5件法、以下同じ)と最も高かったが、これはSSによらない慣行基準技術と見ることができるため、次いで「隣接する作物にも登録のある薬剤使用」が4.4であることから、仮にドリフトしても問題とならない方法の評価が高い(図3)。
  4. 果樹の病害虫防除において参考としている情報は、「JA果樹病害虫防除暦」が平均値4.9、次いで「JA病害虫防除(発生予察)情報」が4.7であり、農協を主な情報源としている(図4)。
  5. これらのことから、「リンゴ・モモ病害虫の省力共通防除技術」等の新技術を普及する手段は、短期的には既存の「JA果樹病害虫防除暦」に体系を追加記載することが、地域全体の組織的な取り組みとして有効と考えられる。しかし、長期的に見た場合は、薬剤費及び防除回数を減らすために必要な予察活動に対する意識が低いことから、樹種複合地域の予察活動の重要性を役員研修会等をつうじて積極的に働きかけることが重要と考えられた。
成果の活用面・留意点
  1. 福島県における今後の「リンゴ・モモ病害虫の省力共通防除技術」の開発方向の参考とするとともに、新しい防除体系等を普及する際の手段の参考として活用できる。
  2. 本調査は、福島市内の農協リンゴ部会役員及びモモ部会役員へのアンケート調査による(調査時期:2008年10月)。調査票の配布・回収は郵送法により行い、配付数は188件(リンゴ部会91件、モモ部会97件)であり、回収数は116件(62%)であった。
  3. 回答者の81%はリンゴとモモを栽培している樹種複合経営であった。また、当該農協は特定の農家に病害虫発生予察調査を委託し、調査結果を基に「JA果樹病害虫防除暦」の薬剤散布時期の早晩(特別散布薬剤含む)を部会員に周知する体制をとっている。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010023367
カテゴリ 害虫 経営管理 農薬 病害虫防除 防除 もも 薬剤 りんご

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