日本短角種の牛肉を取り扱う小売店・飲食店の販売実態と課題

タイトル 日本短角種の牛肉を取り扱う小売店・飲食店の販売実態と課題
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究課題名
研究期間 2002~2005
研究担当者 永田淳嗣(東京大学)
佐藤百合香
大橋めぐみ
発行年度 2005
要約 日本短角種の牛肉の小売・飲食店での販売実態は、価格水準と独自評価の2基準で分類でき、類型ごとに、粗利益・原価率、不足部位、差別化戦略等は異なる。販売促進のためには、短角種の特徴を引き出す加工・調理技術高度化など、他の牛種との競合をふまえた戦略が必要となる。
キーワード 肉用牛、日本短角種、飲食店、小売店、高付加価値化、販売戦略
背景・ねらい
放牧適性と赤身肉に特徴のある日本短角種の牛肉(以下、短角牛肉)は、日本食肉格付協会による評価(霜降りを重視)に加え、各店舗での独自評価(飼養方式や赤肉の旨み等)が必要であるが、実際の販売段階での品揃えや価格設定は多様である。そこで、飲食・小売店へのヒアリングによる販売実態の解明に基づき、流通上の課題を明らかにする。

成果の内容・特徴 1. 調査対象の小売・飲食店は、価格水準と独自評価の高低の2基準で分類できる(表1)。
2. a類型は、高値で利用可能な固定客を持つ飲食店が主で、接待や記念日利用など、高級感を求める幅広い消費者層が対象となる。短角は黒毛のロース系の補完と位置づけられているため、顧客の選好度は弱いが、ヘルシーさや地元産であることが評価されている。(表2、表3)
3. b類型は、地元のスーパーやバラ等の低需要部位を利用する飲食店が主で、「手頃な価格で美味しい和牛」としてブランド化されている。スーパーでは、部分肉流通ができないためセール等の企画販売がしにくいこと、枝肉価格上昇で粗利益率が低下したことが課題とされているが、味と値頃感を評価する固定客が形成されている。
4. c類型は、安全性を重視した食品を扱う会員制宅配や素材にこだわった飲食店等が主である。独自基準での契約生産、熟成・調理技術の改良等で短角牛肉の一層の高付加価値化に取り組み、「放牧を活用した安全な牛」、「赤身の高級な牛」として、高値販売を行っている。高所得者層の固定客を中心に、店舗やシェフに対する信頼感やブランドに基づいて、短角牛肉は選択されている。
5. d類型は産地に立地する小売店で、産地独自情報の付与やカットの工夫等で付加価値を高め、「地元産品」として手ごろな価格で販売している。主に地元客や固定客が産直の割安感や安心感で選択している。粗利益率は低いが、加工・自社飲食店で低需要部位を活用し、高値のロース系の部位は首都圏飲食店に卸すなど、全部位を使い切る工夫で採算を合わせている。
6. 今後の課題として、a類型では、短角牛の販促を行っている店舗やシェフから出される問題点への迅速な対応、b類型では、低コストで同一部位を供給する部分肉流通の導入、c類型は、他の牛種、豚肉等との競合をふまえた、味での差別化とコスト低下を両立させるような技術開発、d類型では、販売量の増加のための適正な利益率の確保が特に重要である。また、b類型で低需要部位の、c類型で高値販売の販路が確保され、部分肉流通の導入や店舗間での部位の調整がなされれば、販路が拡大する可能性がある。


成果の活用面・留意点
調査対象の小売・飲食店は、全て独自の評価基準を持ち、乳用種等より高値で販売している。価格設定と独自評価の「低め」とは、店舗間の比較で相対的に低いことを指す。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010022994
カテゴリ 加工 高付加価値 コスト 低コスト 肉牛 ばら 評価基準

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