タイトル | 複粒化種子を利用した寒冷地向け水稲湛水土中点播栽培体系 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究課題名 | |
研究期間 | 1996~2003 |
研究担当者 |
関矢博幸 荻原均 渡邊寛明 鈴木祥悟 大谷隆二 森田敏 冨樫辰志 矢治幸夫 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 水稲種子5~7粒を粘土で合着して球状に成形した複粒化種子を用いた水稲の直播栽培体系を確立した。造粒は専用の装置で行い、播種は汎用性のある傾斜ベルト式播種機を用いる。この体系は寒冷地でも良食味品種を安定して直播栽培できる。 |
キーワード | 複粒化種子、水稲直播、点播、栽培体系 |
背景・ねらい | alt="" 「あきたこまち」等の良食味品種は耐倒伏性が弱く直播適性は高くない。そのため、生育の過不足の制御や雑草防除などの管理作業が難しく、苗立ち不良や倒伏による減収など収量変動が大きいために作付が難しいと考えられた。良食味米の産地であるが播種期の気温が低い東北地方においても移植並の収量を安定して得るための直播栽培法として、複数の水稲種子を球状のペレットに成形した複粒化種子を製造して、多粒点播による苗立ちの安定と株形成による耐倒伏性の向上効果を生かした点播栽培体系を確立する。 alt="" |
成果の内容・特徴 | 1. 複粒化種子の造粒に用いる種子は浸種後(積算100℃日)ハト胸籾率30%程度に催芽する。造粒は専用造粒装置で行う(造粒能力は約6万粒/h(約30a/h)、作業人員は1~2人)。造粒後は冷蔵庫で約1月保存できるが、冷蔵した場合は播種前に加温処理(25℃、2日間)を行う。造粒した複粒化種子は水稲種子5~7粒を含む。乾籾4kg/10a相当の複粒化種子(カルパー当倍量粉衣)の現物量は、約14kg/10aである。市販の傾斜ベルト式湛水土壌中直播機の播種装置を一部改良した播種機で播種する(8条タイプの播種機で30a/h)。播種深度は約5mmとする。播種後落水管理を行い、入水以降は通常の管理を行う(図1)。 2. 秋田県仙北郡太田町において1998~2003年に実施した「あきたこまち」を用いた現地実証試験において、標準的な農家では平均583±54kg/10a(対移植比95±6.9%)、収量水準の高い農家では平均606±20kg/10aと、移植並みの収量を達成した。 3. 複粒化種子を播種した場合、散播に比べて苗立ち、収量および登熟歩合が安定し、条播に比べて株立ちにより耐倒伏性が向上する(図2,3)。 4. 水田面積が26ha以上の大規模稲作経営では、作付け面積の一部に本直播栽培を導入することにより、増益効果が期待される(図4)。 alt="" |
成果の活用面・留意点 | 1. 耐倒伏性の弱い品種を収量・品質を重視して直播栽培する農家へ技術が提供される。 2. 造粒時に殺菌剤、初期殺虫剤を粘土に混合することで薬剤散布作業を省力化できる。 3. 複粒化種子を保存する場合、苗立ち率の低下を防ぐため催芽はハト胸30%程度にとどめる。 4. 施肥同時播種(側条施肥)および全量基肥施肥により施肥作業の省力化が可能である。 5. 本体系で使用した播種機は、大豆・麦の播種への汎用利用が可能である。 6. 株立ち効果が期待されることから、水稲の散播栽培への適用が可能である。 alt="" |
URL | http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010022634 |
カテゴリ | 経営管理 栽培体系 雑草 省力化 直播栽培 水田 水稲 施肥 大豆 播種 品種 水管理 薬剤 良食味 |
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