産地直売施設における生産流通支援システムの導入効果と課題

タイトル 産地直売施設における生産流通支援システムの導入効果と課題
担当機関 岩手農研セ
研究課題名
研究期間 2003~2004
研究担当者 前山薫
発行年度 2003
要約 システム利用によりリアルタイムの在庫情報に応じた出荷が可能となるため、残品率の減少や売上増加につながる。消費者は目的の商品が買いやすくなったことを評価している。利用促進のための支援や生産履歴情報提供のあり方の検討が今後の課題となる。
キーワード 産地直売施設、生産流通支援、情報共有、在庫管理、生産履歴
背景・ねらい 産地直売施設の運営にあたっては、取り扱う品目、生産者が多いため十分な在庫管理がなされていないこと、需給調整が難しいため残品率が高くなること等が課題となっているが、これら課題解決のためには情報技術の活用が効果的であることが知られている。岩手県のモデル事業により生産者・消費者間で商品に関する情報共有を可能とする生産流通支援システムを東北で初めて導入した大規模な産地直売施設(年間売上規模約3億円、農協直営型)での先行事例研究をもとに、その導入効果や課題について明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
本システムは、インターネットを介してパソコン、携帯電話、Lモード機能付きFAXから利用できる。生産者は、自分が出荷した商品の売れ行き、販売数量・金額(品目別・月別・累計)を、消費者は、商品の入荷情報や目的の商品の在庫状況等を閲覧することができる。また、バーコード番号を入力することにより、購入した商品の生産履歴情報(生産者、栽培方法、生産者からのPR等)を閲覧できるのが特徴である(図1)。
2.
本システムは、生産者による出荷予約登録機能を有しているが、生産者全員が出荷の都度、誤りなくその登録を行うとは限らないため、システムへの正確な入荷情報の反映が難しい。この課題を解決するためには、無線バーコードターミナルによる検品が有効である。販売による商品の減少は、POSレジスタを通すことによりシステムに反映・集計されるため、リアルタイムの在庫情報を消費者、生産者に提供できる(図1)。
3.
システムを利用している生産者の多くが、出荷商品の在庫量や販売実績の確認を利用目的としており(図2)、「施設に行かなくても売行きを確認できる」こと、「販売実績が集計されるので、今後の出荷・栽培計画の参考になる」ことを評価している(表1)。システムから得られた情報を活かし「売れる機会を逃さないよう、在庫状況に応じて追加出荷」したり、「販売状況をみて出荷品目や出荷数量の変更や調整」をするなどの工夫を行うことにより、売れ残りの減少や売上増加の効果がある(表1)。
4.
消費者は、店頭の品揃えや目的の商品の在庫を確認するためシステムを利用しており(図2)、「目当ての商品が買いやすくなった」ことを高く評価している(表1)。
5.
調査時点で、半数弱の生産者がシステムを利用していなかった。システムの利用率を高めていくためには、操作法が分からない生産者を対象とした利用講習会の開催や継続的なサポート体制の整備、売上増加や残品率の減少等に成果をあげている生産者の取り組みの紹介による意識啓発、利用機器の導入支援等が効果的であると考える(図3)。
6.
少量・多品目、周年出荷を行うため同じ作物でも作型によって栽培方法や品種が異なる等の理由から、システムへの生産履歴情報入力が遅れている(図2)。産地直売施設における生産履歴情報の収集・管理・提供のあり方の検討が今後の大きな課題となる。
成果の活用面・留意点 1.
導入する機能や既存機材の有無等によりシステム構築費用(数百万~1千万円程度)が異なるので、導入にあたっては予算や活用目的に応じて仕様を検討する必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010022543
カテゴリ 出荷調整 少量多品目 品種

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