複合交信撹乱剤によるリンゴ主要害虫の防除法

タイトル 複合交信撹乱剤によるリンゴ主要害虫の防除法
担当機関 福島県果樹試験場
研究課題名
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1996
要約 リンゴ害虫用複合交信攪乱剤の処理は、5月15日頃までに、10a当たり200本の割合で、目通りの高さの枝に取り付ける。複合交信攪乱剤を導入し、殺虫剤を効率的に併用することで殺虫剤を削減できることが確認された。
背景・ねらい これまでの殺虫剤の使用については、抵抗性系統の出現、リサージェンス、環境汚染等
様々な弊害が指摘されている。リンゴ生産現場では、生育期間が長いことや
防除を対象とする害虫の種類が多いことから
殺虫剤の使用回数が必然的に多くなっている。
近年、安全志向や環境保全、省力化への関心が高まり、
効率的な害虫防除技術の確立が求められていた。
フェロモン剤は、従来の殺虫剤が抱えている問題が極めて少なく、
新しい害虫防除技術として期待されている。そこで、
キンモンホソガ、モモシンクイガ、ナシヒメシンクイおよびハマキムシ類を対象とし
新たに登録されたリンゴ用複合交信攪乱剤(コンフューザーA)
の使用方法および防除効果を明らかにするとともに、
対象害虫に対する殺虫剤の削減について検討した。
成果の内容・特徴
表1.各試験区における殺虫剤および殺ダニ剤の使用回数
  1. 交信攪乱剤の処理方法については、ハマキムシ類の越冬世代成虫が羽化する前
    (5月15日頃)までに、10a当たり200本の割合でリンゴ樹の目通りの高さの枝に設置する。
    この場合、ほ場周辺部ではフェロモン濃度が低くなりやすいため、幅5m程度に中央部の
    3倍量を取り付けるか、その追加補強分を隣接する樹木や支柱等に取り付ける。
  2. キンモンホソガでは、交尾率は10~30%に減少し、
    本種に有効な殺虫剤を散布しない場合でも、顕著な防除効果が認められた
    (図1、2)。
    これまで本種に対して第1世代から第3世代の成虫発生期に
    それぞれ殺虫剤を散布していたが、交信攪乱剤を導入すれば、
    6月中旬(第1世代成虫発生盛期)頃にネオニコチノイド系殺虫剤を散布することで
    十分な効果が得られた。
  3. シンクイムシ類では、発生密度が低い場合、
    有効な殺虫剤を散布しなくても被害は認められなかった。
    これまで本種に対しては、有効な殺虫剤を5回程度散布していたが、
    交信攪乱剤を導入すれば、7月中旬および8月中旬に有機リん剤を散布することで、
    十分な効果が得られた(図3)。
  4. ハマキムシ類に対しては、有効な殺虫剤を散布しない場合、
    低密度であっても交信攪乱剤の防除効果がやや劣った。
    そのため、本種に対しては各世代の防除適期に殺虫剤を併用する必要がある
    (図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 交信攪乱剤の防除効果は、処理面積が大きいほど安定するので、
    できるだけ地域全体で取り組み、少なくとも4ha以上まとまった面積で実施すること。
    ただし、傾斜地等のフェロモンが流亡しやすい場所では使用しないこと。
    また、周辺に放任園や多発園がある場合は、殺虫剤の削減は行わない。
  2. 付随する効果としては、交信攪乱剤を導入し、
    殺虫剤の削減および天敵にできるだけ影響の少ない殺虫剤を組み入れることで、
    ハダニ類の天敵であるカブリダニ類の密度が安定した。
    カブリダニの捕食効果によって、殺ダニ剤の削減も可能と考えられる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010021478
カテゴリ 害虫 傾斜地 省力化 抵抗性 フェロモン 防除 もも りんご

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