タイトル |
果樹作における雇用労働力の確保と地域労働力調整の課題 |
担当機関 |
山形県立農業試験場 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1993~1993 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1993 |
要約 |
果樹作における雇用確保の課題として、社会保険の充実と作業環境の整備が重要である。さらに被雇用者の非農家女性ではパートタイム等の就業時間の検討が必要である。また地域労働力調整機関として農業無料職業紹介事業が有力視されることからその育成強化をはかるとともに他の労働力調整機関との連携の緊密化を図ることが必要である。
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背景・ねらい |
労働力が不足してきている果樹作農家における雇用労働力確保のための課題と、また、 地域的労働力調整の実態と課題を提示する。
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成果の内容・特徴 |
- 果樹農家の雇用において解決すべき課題(被雇用者・雇用者へのアンケート調査結果より)
県内有数の果樹地帯であり、また、県内で最も農業臨時雇が多く、農業臨時雇の増加率 が大きい東根市で果樹専業農家が多い神町農協管内の被雇用者・雇用者に対し アンケート調査を実施した。(当農協では農協農作業従事者無料職業紹介事業は 行われていない) 被雇用者が就業条件で望むことは、賃金と、労災保険・雇用保険など社会保険の 充実と、作業が危険・作業所が不備・作業がきついなど作業環境の改善である。 そのうち非農家女性は、就業条件では、社会保険の改善や、トイレ・休憩所の設置を 望んでおり、また、就業時間ではパートタイムの就業形態を望む割合が高いことが特徴 としてあげられる。また、雇用農家が雇用関係で農協・行政に望むことでは、被雇用者 の募集・斡旋がトップで6割を占めている。この被雇用者の募集・斡旋という要望は、 さくらんぼの栽培面積が大きい経営で多い傾向にある。 以上のことから果樹作における雇用の課題として、社会保険の充実と作業環境の整備が 重要であり、さらに被雇用者の被農家女性ではパートタイム等の就業時間の検討が必要 である。また、被雇用者の募集・斡旋を望む声は今後ますます大きくなると考えられる ことから、地域において、そのシステム化の検討が必要である。
- 地域的労働力調整の実態と課題(農協農作業従事者
無料紹介事業の実態と課題)、と現在9農協で実施されている 農協農作業従事者無料紹介事業の紹介延人数は、平成2年の約7,000(人日)をピークに 平成5年は約3,000(人日)と減少している。この理由として、生産組織が運営する 果樹等の選果場のへの紹介が実績に認められなくなったこと、紹介した人が次年度から は相対で契約してしまい実績にはあがってこないこと等があげられる。しかし、 運営上の問題点として、求職者の開拓が困難なためうまく運営できないと答えた 農協がほとんどであり、求職者の開拓方法が今後の課題である。比較的実績があがって いるB農協では、主要な紹介の期間はさくらんぼの 収穫期であり、平成5年の実績では、農協管内からの求職者が36%、近隣市町村から48% (うち山形市34%)で、求職者の8割を女性が占めている。実績が高い理由として、当地域 が中核的な都市であり山形市に隣接し交通の便が比較的良いため都市部の求職者を 吸収しているという立地条件面と、営農担当だった担当者が内勤事務に移り業務に 専念できることと管内農家の経営や労力事情に精通しているという農協の体制面、 当地域のシルバー人材センターと情報交換し融通しあっているという関係機関との 連携面があげられる。農協農作業従事者無料職業紹介事業が始まってからまだ日が 浅く、試行錯誤の状態で取り組んでいるのが現状であるので、この事業を定着させる ために育成・支援が必要であり、他の労働力調整機関との連携の緊密化をはかることが 必要である。
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成果の活用面・留意点 |
アンケート調査は、県内の1農協管内における果樹作(さくらんぼ、りんご)の披雇用者 と雇用農家へのアンケート調査の結果であるので留意が必要である。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010020945 |
カテゴリ |
経営管理
さくら
りんご
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