適正給餌量評価法の開発

タイトル 適正給餌量評価法の開発
担当機関 生産システム部
研究課題名
研究期間 2006~2010
研究担当者 阿保勝之
横山 寿
高志利宣
石樋由香
藤岡義三
日向野純也
発行年度 2008
背景・ねらい
海面魚類養殖場では多量の有機物が集中的に負荷されるので,有機汚濁が進行しやすい。適正給餌量を把握し,残餌を最小限に止めることがその対策として有効である。環境中での残餌と糞の定量は給餌量の適正性の評価に必要であるが,これまでその方法がなかった。そこで,当研究グループは堆積物と沈降物の中に含まれる残餌と糞の定量法を開発し,過剰給餌の恐れがある養殖場において養殖魚と環境に及ぼす給餌量削減の効果を評価した。
成果の内容・特徴 養殖場での沈降物や堆積物中の有機物は残餌,養殖魚の糞および自然有機物(主に海洋植物プランクトン)の混合物であり,これら3者の炭素・窒素安定同位体比がそれぞれ異なれば,沈降物や堆積物の炭素・窒素安定同位体比測定により,全有機物に占める残餌と糞の割合を求めることができる(図1)。五ヶ所湾におけるマダイ養殖場の堆積物中には残餌が糞より2.4倍多く含まれていた(図2)ことから,過剰給餌の可能性が高いと判断し,養殖業者に給餌量を2割削減して当歳マダイを養殖し,マダイの成長や死亡率および環境への負荷を比較する現場実験を提案した。9ヶ月間のモニタリングにより次の結果を得た。1) 通常給餌区と比べ制限給餌区ではマダイの成長に有意の差はなく(図3a),餌料効率は制限給餌区(0.62)が通常給餌区(0.54)を上回った。2) 制限給餌区における累積死亡数は通常給餌区の44%に止まった(図3b)。3)制限給餌生簀下の堆積物中の残餌量は通常給餌区より有意に少なかった(図3c)。これらの結果は制限給餌が餌料コストの低減,養殖魚の死亡率低下および環境へのインパクトの低減に寄与したことを示している。
成果の活用面・留意点
本手法により残餌や糞の拡散範囲と堆積物中への蓄積量を把握でき,魚類養殖が周辺環境に及ぼす影響の範囲と程度の判定が可能となる。さらに,堆積物や沈降物中での残餌と糞の相対的割合により給餌量の適正性を評価でき,養殖漁場の環境管理と養殖経営の改善に寄与する。炭素・窒素安定同位体比測定には高度の機器と知識が必要であるので,本手法の現場への普及には測定体制の構築が必要である。

URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010020644
カテゴリ 経営管理 コスト 評価法 モニタリング

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