タイトル |
不整形な傾斜圃場に適した低コスト平張型傾斜ハウス |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究課題名 |
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研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
吉川省子
川嶋浩樹
長崎裕司
野中瑞生
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発行年度 |
1999 |
要約 |
開発した平張型傾斜ハウスは、建設足場用資材を利用して、不整形な傾斜畑や棚田に低コストで設置できる強化構造ハウスである。圃場の利用率が高く、軒が高一いため換気性が良く、作業性にも優れている。
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背景・ねらい |
四国中山間地域では農業展開の大きな制約要因となっている傾斜地が広範に存在し、農業生産力の低下が著しく進んでいる。しかしその一方では、傾斜地形から得られる傾斜地資源を活用した野菜・花き等の集約的生産の振興が模索されている。そこで、不整形な傾斜畑および棚田に適した低コスト強化構造型の傾斜地ハウスを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発した平張型傾斜ハウス(図1)は、不整形な傾斜畑を多角形の平屋根で覆うことで圃場を最大限に利用できる。支柱や屋根等には主に直径48.6mmの建設足場用パイプを使い、それらの接合には足場用のクランプ類を利用する。
- 建設手順は、まず3m間隔の格子を基本形状としてパイプ付プレコンクリート基礎を埋設し、それに支柱パイプを差し込み固定する。支柱パイプ長さは2.5~3mである(図2)。
- 次に等高線方向の支柱列を棟パイプで接続する。自在クランプで接合することで圃場の湾曲に対応できる。屋根パイプは0.6m間隔で棟パイプに乗せ、主に直交クランプで接合する。さらに屋根パイプ上にフィルム留め材を固定する(図2)。
- 屋根、側面のフィルム展張は、PO系軟質フィルムの原反張りで対応できる。
- ハウスの全側面には2段の換気用巻き上げ(各1m幅程度)を設ける。屈曲部にはユニバーサルジョイントを巻き上げパイプに取り付けることでスムーズに操作できる(図2)。
- 強風対策として、ハウス内には適宜直径48.6mmパイプの筋交いを配置する。管理作業の障害となる通路部分では、通常は収納できる可動式筋交いを利用する(図2)。
- 資材コスト(フィルムは除く)は、3.3m2当たり約1万円である。
- ハウスの軒が高くかつ全側面が巻き上げられるため高温期の換気は良好である。段差が比較的大きい2つの段畑を一体的に覆う場合には、中央換気窓を設置して換気を促進する(図2)。低温期は2重張りを設け周年的利用ができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 簡易雨よけ栽培を行っている小区画の不整形な傾斜畑、棚田に適用できる。
- 建設に要する日数は2人組作業で12日/a程度である。
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URL |
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010019217 |
カテゴリ |
傾斜地
コスト
中山間地域
低コスト
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