中国における組換え農産物の生産・流通・表示に関する政策動向

タイトル 中国における組換え農産物の生産・流通・表示に関する政策動向
研究課題名
研究期間 2000~2003
研究担当者
発行年度 2002
背景・ねらい 遺伝子組換え(GM)農産物の生産は、北米や南米を中心として急速に拡大している一方、EUや日本での表示義務化を契機として流通・消費動向が昨今大きく変動している。しかし、各国のGMOに対する対応は一様ではなく、研究段階での留保を行おうとしている国がある一方で、積極的に生産を進める国まで様々な対応が見られる。こうした相違がどのような要因によってもたらされているのかに関しては、当該国の農業構造や産業政策、国際交渉上のスタンスとも関連させつつ多角的に分析検討することが不可欠である。また流通・消費動向に関しては、表示や分別管理手法、技術開発等における諸要因に応じて、各国主要農産物のフードシステムに多大な影響を与えるものと想定され、その影響に関して各国の実態を分析することが急務である。
現地調査およびインターネット等各種情報源より情報収集を行う。またインターネット情報に関しては、ニュース情報および報告書・論文情報に関するデータベースを作成し、収集・整理・解析を行なう。特に、本年はこれまでの評価会議で要請が高かった点を考慮し、中国におけるGMO規制および生産動向に関する現地調査を行なった。
成果の内容・特徴 中国において現地ヒアリング調査(北京、安陽;2002年12月)を行った結果、中国におけるGMOに関する新規規制導入の状況とGM綿花の生産普及状況に関して、以下の点が明らかとなった。
  1. GMO規制:中国政府は、2001年5月以降、GMOに関する包括的な規則を導入した。まず基本的な制度を定める2001年5月23日国務院令「農業遺伝子組換え生物安全管理条例」(これに伴い、1996年農業部令「農業生物遺伝子組換え安全管理実施規則」は廃止)に次いで、2002年1月5日にはその実施具体化として中国農業部令「農業遺伝子組換え生物安全評価管理規則」、「農業遺伝子組換え生物輸入安全管理規則」、「農業遺伝子組換え生物表示管理規則」が公布された。なお、「輸入安全管理規則」に関しては、その中に輸入GMOに関する安全証明発行に関する条項が存在したために、米国との間で貿易問題が発生した。米中両国政府間協議の結果、「輸入安全管理規則」については、暫定措置を導入し、施行が2003年9月まで延期されたという経緯がある。また「表示管理規則」に関しては、2003年3月20日に施行された。
  2. 安全性審査制度:中国でのGMO安全性審査(食品、環境、飼料)は農業部が行うが、申請は、省毎・品種毎に提出を求められる。40件が安全確認されているとの報告もあるが、その内訳は、綿花で30件程度。省毎・品種毎に審査しているために、件数が多くなる。また認可に関して期限が設定(基本的に5年)されている。
  3. GMO生産状況:1998年からGM作物の商業栽培が開始された。現在までの商業栽培認可品目は作目数で4品目(綿花、トマト、ピーマン、ペチュニア)である(表1)。しかし、大規模栽培が行われているのは、Bt綿花のみ。2002年に200万ヘクタールでBt綿花が栽培されたとされ、アメリカ、カナダ、アルゼンチンに次いで世界第4位のGM生産国となる。Bt綿花の主要栽培地域は、黄河流域(河北省、山東省、河南省、安徽省など)が中心であり、GM品種の普及割合は、黄河流域はほぼすべて、南部は5割。新疆はほとんどないと見られる(図参照)。これは、各省毎のGM品種の普及態勢のあり方と共に、地域毎の主要病害虫の発生確率をも反映していると考えられる。
  4. 種子開発・販売:Bt綿花は、モンサント開発種と中国農業科学院開発種の2種類に大別されるが、その種子開発・販売方法は、様々な課題を抱えている。すなわち、中国においては新品種保護制度が整備過程の途上にあることで、固定品種のBt綿花が育種者の許可を得ないまま増殖され普及されていること。またモンサント社も種子販売を行っているが、こうした権利保護上の課題と共に、中国農業科学院(綿花研究所)で開発された種子との価格差が大きく(半額程度)、種子販売面での格差が存在することも現地で指摘されている。
  5. 研究開発に関しては、急速に研究開発投資を近年進めており、GMO開発に積極的な姿勢を見せている(表2)。しかし、他方で、WTO加盟に伴う諸外国からの農産物輸入に対して、国内生産者を保護することが政治的な課題となっており、GMO関連に伴う諸制度の導入とその運用もこうした背景と関連付けて理解する必要がある。なお、表示に関しては、表3に示すように、油、飼料に対しても義務表示が導入されている(混入水準を示す閾値は設定されていない)。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010019006
カテゴリ 安全管理 育種 害虫 新品種 データベース トマト 品種 ピーマン ペチュニア

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