消化液を施用した畑地からの亜酸化窒素の発生特性

タイトル 消化液を施用した畑地からの亜酸化窒素の発生特性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2005~2008
研究担当者 山岡賢
中村真人
藤川智紀
柚山義人
発行年度 2008
要約 消化液を施用した畑地からの亜酸化窒素発生量は、硫酸アンモニウムを施用した場合と同様に、消化液施肥直後から2週間程度でピークを迎える。また、消化液施用量が多くなるにつれて、施用窒素のうち亜酸化窒素として発生する割合は高まる。
キーワード メタン発酵、地球温暖化、温室効果ガス、黒ボク土
背景・ねらい メタン発酵消化液(消化液、メタン発酵においてメタンガスを取り出したあとに残る液体)を液肥として利用するメタン発酵システムの温室効果ガス排出削減効果を評価するためには、メタン発酵施設の運転や消化液の輸送・散布に伴う温室効果ガスの排出だけでなく、消化液を施用した土壌からの温室効果ガスの発生量の測定を行う必要がある。
そこで本研究では、消化液を施用した3箇所の黒ボク土圃場において、温室効果ガスである亜酸化窒素(N2O)発生量を測定する。硫酸アンモニウムを施用した場合との発生量の違い、施用量による亜酸化窒素の発生率の違いの観点から、亜酸化窒素の発生特性について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 本研究で用いた消化液は固液分離した乳牛ふん尿を主原料とするものであり、全窒素は3,450mgL-1、含有する窒素の約半分はアンモニア性窒素である(表1)。
  2. 亜酸化窒素発生量は、温度、降雨等の環境条件や消化液施用量が異なっても、消化液施肥直後から2週間程度でピークを迎え、その後、施肥前のレベルに戻る傾向がある。この傾向は硫酸アンモニウムを施用した場合と同様であるが、ピークの大きさは消化液を施用した場合の方が大きい(図1)。
  3. 消化液施用から作物の収穫までの期間における積算亜酸化窒素発生量は、圃場により大きく異なる。消化液を12gNm-2相当量施用した場合、積算亜酸化窒素発生量は4.72~43.8mgNm-2(施用した窒素の0.039~0.21%に相当)と幅があり、硫酸アンモニウムを消化液中の窒素量と同量施用した場合の発生量の0.9~3.5倍の量である。
  4. 消化液施用量が多くなるにつれて、施用窒素のうち亜酸化窒素として発生する割合(亜酸化窒素発生率)は高まる(図2)。亜酸化窒素発生率を勘案すると、単位面積あたりの施用量を多くして小さい面積に施用するより、施用量を少なくして大面積に施用する方が畑地からの亜酸化窒素の発生を抑制できる。
成果の活用面・留意点
  1. バイオマス利活用に伴う環境影響評価を専門とする研究者、バイオマス関連の行政施策担当者にとって参考となる情報である。
  2. 本成果と施設の運転や消化液の輸送等に伴う温室効果ガス排出量のデータを用いることにより、消化液を液肥として利用するメタン発酵システム全体の温室効果ガス排出量を算定できる。また、化学肥料を消化液で代替した時の温室効果ガス排出量の変化を推定することも可能となる。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010018719
カテゴリ 施肥 乳牛 メタン発酵消化液 輸送

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