豪雨時のため池堤体の浸透と破壊メカニズム

タイトル 豪雨時のため池堤体の浸透と破壊メカニズム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究課題名
研究期間 2005~2007
研究担当者 松島健一
堀 俊和
毛利栄征
有吉 充
発行年度 2007
要約  ため池堤体上部の水分状態が降雨時の堤体の安定性に大きく影響している。豪雨によって堤体上部の不飽和領域が急激に湿潤化すると、突発的な崩壊が発生する可能性がある。堤体上部の不飽和領域を確保することによって堤体の安定性を大きく向上できる。
キーワード ため池、降雨、不飽和浸透
背景・ねらい  農業用ため池は、全国に21万個所存在し、地域の貴重な水資源となっているが、豪雨時に下流斜面が崩壊する事例が毎年のように報告されている。本研究ではため池の堤体模型を用いた降雨実験と降雨を考慮した飽和不飽和浸透流解析を行い、降雨時の堤体内の間隙水圧の変化および崩壊のパターンを明らかにする。
成果の内容・特徴  ため池の堤体模型を用いた降雨実験と降雨境界条件を考慮した飽和不飽和浸透流解析を開発してシミュレーションを行った結果、以下のことが明らかになった。
  1. 砂分94%の川砂(霞ヶ浦砂)を用い、図1に示すような堤体模型を作成し、降雨条件を変えた2ケースの実験を行った.Case1は定常浸透状態を維持しながら200mm/hまでゆっくりと降雨強度を上昇させたケース、Case2は200mm/hの降雨を急激に作用させたケースである.ゆっくり降雨量を上昇させた場合、法先からの逐次崩壊現象が発生するのに対し、急激な降雨の場合では突発的で大きなすべり崩壊現象が発生する。降雨強度によって堤体の崩壊パターンには大きな違いがある(図3、4)。
  2. 開発した降雨境界条件を考慮した飽和不飽和浸透流解析手法によるシミュレーション結果は、模型実験における降雨強度と堤体内の水分状態の関係を良く表現することができる。
  3. 堤体内に不飽和領域が維持されている場合、浸透力が堤体の安定性を増加させる堤体内向き方向に作用するのに対し、不飽和領域が湿潤化すると浸透力がすべり方向に変化するため、堤体の安定性が急激に低下する。このため、強い強度の降雨によって不飽和領域が急激に湿潤化すると、決壊につながるような大きな崩壊が前兆なく突発的に発生する可能性がある。
  4. 堤体内の不飽和領域が堤体の安定性に大きく影響することから、天端下の領域に人為的に不飽和領域を確保することによって、ため池堤体の安定性を向上できる可能性がある。
成果の活用面・留意点
  1. 開発された解析手法を用いることによって、降雨を考慮したため池堤体の安定性を評価することが可能になる。
  2. 急激な強い降雨は前兆の少ない大きな崩壊を発生させる可能性があるため、ため池の安全管理を行う上で留意する必要がある。
  3. 堤体内に安定した不飽和領域を人為的に確保する方法を応用することによって、新しい補強対策工法を開発することが可能である。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010018673
カテゴリ 安全管理 くり なす

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